若いときから読書の記録は付けてきた、といっても書名、著者名、評価だけだが。

パソコンに記録するようになったのは、12年ほど前からで、昔はどんな本を読んでいたかすぐわかる。10年間の平均は年160冊、最高の年は4年前で、年202冊読んだ。

それがここ12年は、年100冊がやっと、月に78冊とかなり落ちてしまった。

 

その理由は明らかで、一つは録画した映画・海外ドラマを見るのが楽しくなったこと、タブレットを手にネットをみて、時間を潰してしまうこと、ブログを書いているので読書する時間が奪われること、色々読みたい意欲はまだ残っているので、あれこれと手を出し、読了するまでに至らず、食い散らかしてしまっていること、パラパラ読みの愉しみのため等だ。

 

WowowDlife(放送終了してしまって残念)で録画した2000本近い映画を何とか消化したいと毎日せっせと見ている。最近BS12の「瓔珞~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃」(月~金pm5時)にはまっている。清の乾隆帝時代、奴婢から女官、皇后へと昇っていく美人で知恵と勇気と根性がある魏瓔珞の後宮での活躍物語だ。もう41話まで放送が終わっているが、70話まであるので、前半の話はネットで仕入れてから見ても後半は面白いこと請け合いだ。

後宮の妃嬪に悪女が多く、瓔珞が罪に陥れられても、そこから如何に挽回するかが見ものなのである。

中国女優は美女が多く、皇后や貴人、女官など役に相応しい女優が配されていて、それも安心して見ていられる。私は幸薄い皇后の優しい顔が好きだ。今回で死んでしまうのだが。

あとは推理ものスパイものなどを楽しんでいる。だから、本を読む時間がなくなる。

 

私はこれまで4000冊近くは読んでいるのだが、未だに読書の仕方がわからない。本に求めるものに迷いがあり、もう老い先短いにも関わらず、本当に本を楽しむ境地に至っていない。

なぜ読むのか。

基本的には「楽しむ」ためである。

もう退職したので、仕事に役立てるために本を読む必要は無くなった。文学やエンタメ小説はまさに楽しむ(感動も含む)ために読む。

次は、「知る」ことだ。

歴史、昔の出来事だけでなく、その当時はどんな考えや行動をしていたのか、組織や権力者の栄枯盛衰等。世の中のこと、社会や経済の仕組み、政治学、戦争論等々。

最後は「考える」ことだ。

書物から得た知識だけでなく、ものの見方の指針が与えられたら、それを考える。

この3つを組み合わせて、「知って楽しむ」「知って考える」「考えて楽しむ」という喜びが生まれる。

 

と思いながらも、受け入れる頭の容量が小さいから、なかなか入ってこないし、入れてもすぐに蒸発してしまう。早いときは、1ページを読み終わってすぐに、あれ今前のページでは何が書かれていたっけ、と忘れてしまう体たらくである。たまにはメモをするが、メモをしていたら読書は進まず、メモをしても二度と見ることもない。でも大事なことは、なるべく覚えておきたいから、ブログの文章に活用することで記憶にとどめる。

 

昔若いときは、社会の仕組みやものの見方を知りたかった。だから、納得できる理論や考え方に出合うと感動したものだった。今は余りそういう感動を感じなくなった。ひとつは、こういう考え方をすればいいんだという自分なりの答えを見つけた(と勝手に思っている)から、感動が感じられなくなったのだ。しかし、それは表面的なことで、まだまだ知らないことばかりだ。だから読むべき書物は数知れぬほどあるのだが、何しろ理解力と記憶力が弱いので、読んでも理解が進まない。

 

例えば、MMT。島倉原氏の「MMTとは何か」(角川新書)は3度も繰り返し読んだが、まだ腑に落ちていない。フェリックス・マーチンの「21世紀の貨幣論」や中野剛志氏の「富国と強兵」のなかのMMTについても読んだし、ネットに書かれているMMTの論文も少し。それでももうひとつよく分からない。 

苦労の割に身に付かないので、読書から遠ざかるのである。

 

私の一番ダメなところは、読書を量で(読んだ本の数で)考えてしまうことだ。これが読書の愉しみを奪うのである。それは間違っているとずっと前から分かっているのに、つい今月は5冊しか読まなかったなあとか後悔してしまうのである。悪い癖が身に付いてしまったのだ。1冊しか読まなくても、いい本を読んだ、面白かった、と言えればいいだけの話なんだ。

しかし、読むべきいい本がたくさんあり過ぎるので、つい欲張るのである。また、いい本は分厚いのである。だから悩むのである。もう何十年もこれをくり返して、70歳になってしまった。

 

どんな本を読んでいるのか、読みたいのかの具体性が書かれていないので、少し掲げてみる。

最近読んだ本。(赤字は新刊本として購入。青字は図書館本)

6

・「MMTとは何か」島倉原 角川新書  A  

・「保守の真髄」西部邁 講談社現代新書  A  

・「日米戦争を策謀したのは誰だ!」林千勝 WAC A 

・「「新聞記者」という欺瞞」安積明子 ワニブックス B

・「リベラリズムの終り」萱野稔人 幻冬舎新書 C

5月

・「日本占領と「敗戦革命」の危機」江崎道朗 PHP新書 A 

・「朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作」江崎道朗 PHP新書 A

・「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です」カレン・フェラン 大和書房 A

・「ナチズムとユダヤ人」村松剛 角川新書  B 

・「厨子家の悪霊」山田風太郎 ハルキ文庫 B

・「貧乏は正しい!僕らの資本論」橋本治 小学館文庫 B  

・「天啓の宴」笠井潔 双葉文庫 B   

4

・「あなたは自由か」西尾幹二 ちくま新書  A

・「貨幣の新世界史」カビール・セガール ハヤカワ文庫 A

・「中世の星の下で」阿部謹也 ちくま学芸文庫  B 

・「KGB帝国」エレーヌ・ブラン 創元社 B  

・「大間違いの織田信長」倉山満 kkベストセラーズ  

・「真実の世界史講義 中世編」倉山満 PHP研究所  A  

・「山本七平の日本の歴史」山本七平 ビジネス社  

・「GDPも純利益も悪徳で栄える」田中弘 税務経理協会 B 

・「大衆格差社会アメリカの資本主義」吉松崇 日経新書 C

・「ヘタな人生論よりイソップ物語」植西聰 河出文庫  C

・「ヤマタイ国は阿蘇にあった」渡辺豊和 カッパブックス C

 

読んでいる本及び読みたい本

・「日本経済学新論渋沢栄一から下村治まで」中野剛志 ちくま新書 

・「逆説の軍隊」戸部良一 中公文庫 

・「歴史に残る外交三賢人 ビスマルク、タレーラン、ドゴール」伊藤貫 中公新書ラクレ

・「男はどこにいるのか」小浜逸郎 草思社

・「負債論 貨幣と暴力の5000年」デヴィッド・グレーバー 以文社

・「幕末政治家」福地 桜痴 岩波文庫

・「中世賎民の宇宙」阿部謹也 ちくま学芸文庫 

・「収容所群島 1文学的考察」ソルジェニーツィン 新潮文庫 

・「日本の近代2明治国家の建設」坂本多加雄 中央公論社 

・「日本人とは何か(下)」山本七平 PHP文庫 

・「自伝的日本海軍始末記」高木惣吉 光文社

・「山本五十六の大罪」中川八洋 弓立社

・「端正・格調高い文章を味わう 中島敦」中島敦 別冊宝島

等々

 

図書館が休館中なので、今は寝室の本棚にある積読本をパラパラとめくりながら、楽しんでいる。パラパラめくりが一番性に合っているようだ。

 

なお、読んだ本の記録として「読書メーター」に「ネコ虎」(https://bookmeter.com/users/626794)という名前で出ている。

以前はコメント欄に感想を書いていたが、最近は感想をまとめることが億劫となり止めている。これも老化現象の表れかも。

 

さあブログも書き終わったので、「瓔珞」の続きを見よう。読書は寝る前に少しすればいいや。うーん、だからだめなんだよねえ。