前から私は、小池都知事が東京都備蓄の防護服を二階自民党幹事長からの依頼で勝手に送ったことを批判してきたが、やっと都議会でも問題したようだ。

しかも、12万着だとばかり思っていたが、知らない間に実際はその3倍近い33.6万着もの大量防護服をタダで中国に送っていたようだ。

都民の税金を対価もなく、理由も曖昧まま、小池都知事は勝手に使ったのである。

 

その追及の急先鋒は元テレ朝アナウンサーで自民党の若手都議会議員川松真一朗氏だ。

それによると336000着の送付の経過は以下のようだ。

 

1.28 武漢から日本人を国内に引き上げる際の往路便に、日本から中国への支援として、2.1万着の防護服を東京都の判断で送る。
2.07 自民党二階幹事長からの要請で、10万着中国が用意したチャーター機で送る。
2.13 武漢から日本人を国内に引き上げる際の往路便に、外務省からの要請で5000送る。
2.14 北京の清華大学からの依頼で1万着送る。
2.18 北京赤十字社からの依頼で3回に分けて北京に20万着(16千万円分)送る。

 

1.282.13までの中国送付はまだニュースで取り上げられたり、外務省からの要請であったりと経緯がわかるのだが、2.1820万着の北京への送付について、当初東京都は誰からの依頼なのか、防護服主管局福祉保健局長は知らなかったのである。

その20万着は約16千万円もするのに、主管局がわからないのはおかしいと、川松議員が追及したのである。

後日の都議会で、中国からの依頼は北京赤十字社からであるという文書を都は提示したのだが、それを説明したのはやはり福祉保健局長ではなく、政策企画局長だったという。

 

川松議員は、知事室と政策企画局長が密室で大量防護服の無償配布を決めたのではないかと問題視している。つまり、防護服といえども税金で購入されたものであり、決定プロセスが不透明だと。

 

全くその通りである。知事室が関わっているということは、小池都知事が当然関わっているのである。

主管局長も知らないうちに、都の資産が勝手にタダで外部に贈与されてしまうなんて、民間では考えられないし、下手をすれば企業の資産を毀損したということでトップの背任行為に問われてもおかしくない。

 

因みに川松議員は、防護服の備蓄量を次のように説明している。

現時点での東京都の防護服装備量は、約200万着以上はあります。これは新型インフルエンザが流行した時に、220万着の備蓄をしました。具体的には、配布先の数、人数、着替えの数、対象期間などから110万着の必要数を算出したのです。配布先は診療医療機関、感染症指定医療機関、都・区保健所、消防庁、民間救急事業者であります。(なお、マスクの備蓄は100万枚で内20万枚を放出予定)」

 

つまり、東京都の防護服必要量は110万着で、220万着の備蓄があるから、かなり放出しても東京都としては困らないようだ。

しかし、だからといって、中国に余裕分を送ったとしていいのだろうか。

勝手に小池は中国に送っているのだ。それは誰も問題にしていなかったからだ。もし騒がなければ余裕が100万着あるからそこまでは勝手に送っていいと思っているのだろうか。

都民の税金を中国に何の議論もなしで渡していいのか、ということである。

それが何か別の目的があったとしたら絶対に許されないだろう。

 

川松議員は2.7に二階から依頼されて送った10万着は廃棄寸前のものらしいから、金を出して廃棄するくらいなら有効に使ったので良しとするとは言っている。

 

しかし、この10万着にアリババのジャック・マーが絡んでいるとは知らなかった。ここから話は魑魅魍魎の世界に入るのである。

二階が小池都知事に依頼した10万枚の防護服は、ジャック・マーが二階に依頼したところから始まっているようだ。

 

「…マー氏によると、中国で毎日数千人単位の感染者が発生し、医療物資が不足していた1カ月前、以前から交流があった二階俊博衆議院議員に医療物資の調達を相談したところ、防護服125000着を手配してもらったという。

この支援は、中国電子商取引大手アリババグループ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が、医療国際化推進機構(IMSA)の二階俊博名誉理事長に連絡して実現したもの。」

 

このニュースはさらっと書かれているから、「へー、そう」で終わるのだが、同じ内容のものをAFPが伝えているのを読むと、首を傾げるところが出てくるのである。

 

AFP

28 Xinhua News】アリババ公益基金会は7日、日本が中国に医療用防護服10万着を追加支援することを明らかにした。防護服は同会を通じ、需給がひっ迫している中国の病院に届けられる。アリババグループはさらに、日本の電力各社と日本原子力研究開発機構(原子力機構)から24200着の放射線防護服を調達、あわせて必要とする機関に送付される。

 この寄付は、同グループ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏の仲介により実現した。

馬氏は先だって、防護物資調達のために一般社団法人医療国際化推進機構(IMSA)の二階俊博名誉理事長と連絡を取り、防護服を確保してもらえれば、同グループで買い取ると伝えた

 二階氏はこれを受け、日本の各方面に当たり、124200着の防護服を確保し、中国に無償で寄贈したいと申し出た。最終的に、10万着を日本側からの寄付とし、24200着を同グループが買い取った。」

 

124200着の防護服を中国に無償で寄贈したはずなのに、ジャック・マーのグループは、24200着を買い取ったと報じているのだ。

買い取って受け取った金はどこに行ったのか。

 

この防護服は東京都が入札したときは1800円だそうだ。当然大量買い付けだからかなり安く購入できたはずだ。しかし、ジャック・マーに売った時はもっと高値(例えば千円)だったかもしれない。

少なく見積もって1900万円、多めに見積もって2400万円だ。

 

この防護服のやりとりに一般社団法人医療国際化推進機構というのが絡んでいる。そして名誉理事長は二階俊博だ。ジャック・マーはここに支払ったのだろうか。しかし、そうなると税金で購入されたものが医療国際化推進機構の収入になるなんておかしい。

だから、そういうことはあり得ないはずだ。ではジャック・マーは誰に支払ったのか。これが謎であり、疑惑である。

 

東京都は10万着は無償で中国に渡し、2万4200着は東京都のものでなく、別のところから集めたというのなら、ジャック・マーがその分有償で買い上げたということで、辻褄が合うといえば合うのだが、それでは最初は無償だったのに有償となったのは自治体なのか企業なのかその辺が定かではないのがよく分からないところである。

 

京赤十字社からの依頼で3回に分けて北京に送ったという20万着もなぜか怪しい匂いがしてくるのである。

防護服主管局福祉保健局長が知っていたのなら問題はないのだが、裏を扱う知事室が絡んでいる20万着なのだから、きな臭いのである。

 

週刊新潮や文春も不倫ばかり追いかけていないで、この辺のところを深く取材してくれるとありがたいのだが。

 

なお、「日本の電力各社と日本原子力研究開発機構から24200着の放射線防護服を調達」という報道も怪しい。

今コロナウイルスを問題にしているのに、なぜジャック・マーは放射線防護服を調達したのか。それは中国の原発が事故でもあったからなのか。中国政府が調達すると話が外に明らかになってしまうことを恐れたからなのか。こういう情報を日本のマスコミはなぜ伝えないのか。中国の原発事故は、起きても日本の左翼は知らん顔するつもりなのか。

色々と怪しい放射線防護服の調達ではないだろうか。 

 

<追伸3.20>

東京都の防護服の値段は1枚800円でなく、1500円だそうである。

800円は少し安すぎると思っていたのだが、やはり。

川松議員が今日の動画で修正していた。

結果、1.6億円ではなく、3億円の都の資産を勝手に中国に提供してしまったということになる。これが小池都知事のいうワイズ・スペンディングなのか。

小池都知事自身の懐を傷めずに、3億支出できるのは、まさに小池ファーストのワイズ・スペンディングということか。