工場が壊れたわけでもなく、原材料が滞ったわけでもなく、生産は順調なのに、買占め、買い走り、行列騒ぎは収まらない。
それに対しテレビは、生産に支障はない、冷静になれと繰り返すばかり。効き目が全くない。お手上げ状態か。喜んでいるのか。真面目に考えた形跡がないのである。
人は冷静に判断しているのである。生産が順調だとわかっているのである。マスクは中国輸入が80%とのことだから、買いに走るのはわかるが、トイレットペーパーはそれとは正反対なのである。なにも問題はないのである。
それでも人はスーパーに買いに走るのである。そしてネットに高値で出回るのである。
日本人はアホなのか。病気なのか。
何故わかっちゃいるけどやめられないのか。マスコミも専門家を動員して解説させたらどうなのか。感染症専門医ばかりが日替わりで出てくるが、経済学者、社会心理学者、経営学者、ゲームの理論家、コンサルタント等その手の専門家はいないのか。
ヒントとして、冷静なのに買いに走る要因としては、ケインズの美人投票理論がある。自分がどう思うかではなく、他人がどう思っているかと自分が考えることが行動の原因だ。
自分は冷静でも、他人は冷静ではないかもしれない。なら冷静にして何もしなければ負けてしまう。
これはチキンゲームか囚人のジレンマのようなゲームの理論で解くとどうなるのかということだ。だからこうすべきという解決策はこの観点からは思いつかないが。
もう一つは、銀行取り付け騒ぎだ。
倒産しそうだという銀行のうわさが出れば、預金の払い出しに殺到する。冷静に行動すれば、倒産しないのに、我先にと払い出しをすれば倒産してしまう。
1927年の渡辺銀行取り付け騒ぎで昭和金融恐慌の発端となった。1973年の豊川信用金庫事件も思い出す。
そんな取り付け騒ぎにどう対応するのか。
昭和金融恐慌の際は、当時の高橋是清蔵相は片面印刷の裏が白い急造の200円券を臨時に増刷して現金の供給に手を尽くし、銀行も潤沢に供給された現金を店頭に積み上げるなどして不安の解消に努め、金融不安は収まったという。
こんな金融恐慌事例もトイレットペーパー買い走り騒ぎのヒントにならないだろうか。
全国数十か所の拠点に事前に生産したトイレットペーパーを山のように積み上げ、いくら買っても買っても売り切れないようなパフォーマンスを大々的にして、今買ったら例えば3割増しになるが、これが店頭でゆっくり買えば通常の値段であると。それでも買うのかと損得計算をさせるのである。
これなら目が覚めるのではないか。甘いか…。
その他にもいろいろアイデアが出てくるだろうが、単に冷静になれ、では効果ないんだということから対策を考えていったらどうなのか。
学者の出番である。AIの出番である。
AIも日頃なんでもござれと威張っているのだから、こういう喫緊の課題に対して、最適な答えを出してみろよ。