林鄭月娥行政長官は逃亡犯条例改正案を正式に撤回を表明。これで最悪の事態は一応避けられた。よかった。

 

「【香港時事】香港政府トップの林鄭月娥行政長官は4日、テレビを通じて市民に向けた談話を発表し、逃亡犯条例改正案を正式に撤回すると表明した。香港では6月以降、改正案に反対する大規模なデモが頻発し、社会の広い範囲に混乱が拡大した。林鄭長官には、中国政府が重視する建国70年の節目に当たる10月1日の国慶節の前に、社会の安定を図りたい思惑があるとみられる。

(中略)

 林鄭長官は発表で、「(改正案をめぐる混乱は)全ての香港市民に衝撃を与え、不安と苦痛をもたらした。目前の困難な情勢から早期に抜け出すことが必要だ」と強調。政治的意見や社会階層の異なる市民らとの対話を通じ、相互理解を深めたいという見解を示した。

(中略)

 これに対しデモ隊は、改正案の完全撤回を含む「五大要求」を掲げ、抗議活動を過激化させてきた。9月に入ってからは、抗議活動は新学期を迎えた学生の授業ボイコットといった新たな形に発展。市民は13日までに五大要求に応じるよう政府に要求し、聞き入れられない場合、さらに行動をエスカレートさせる構えを見せていた。」

 

香港の学生を中心とした民主化運動の大勝利だ。もう少しのところで中国の軍隊が介入し、天安門事件の再来のような惨事に発展するのではないかと危惧していたが、一応林鄭(キャリー・ラム)行政長官が引いたので激しい衝突の事態は避けられたが、これで学生たちは「よかったよかった」といって運動を収束させることはないだろうが、当面の衝突は回避できた。

 

「全人代で香港暴乱規定を出すことが出来なかった習近平は、ラムに対して101日の国慶節までになにがなんでも鎮静化しろと厳命したと言われています。」(「農と島のありんくりん」より)

 

逃亡犯条例改正案を正式に撤回することで収めようとしたキャリー・ラム長官の弱腰に、習近平は怒り狂っているだろうから、ラム長官を辞任させてもっと強硬な人物を行政長官に据えて、今後は更に弾圧も激しくなるかもしれない。

 

今回の反対運動に対し、中国政府は強硬な弾圧を考えていた節がある。それは民主化運動が暴徒化していると称して中国武装警察を介入させるために、中国側の警官を暴徒に化けさせて火炎瓶を香港警察に投げつけているところが写真に撮られていたのである。

 

「「BBCによれば、市民の平和的「散歩」が行われる一方で、数百人規模の(ある程度の暴力容認派)勇武派デモが立法会や政府総部の周辺を包囲、警官との衝突のさいに、火炎瓶を投げ、投石し、バリケードに火をつけたりするなどした。()
一方、湾仔付近で香港警察の標準装備である拳銃Glock 17を腰につけた私服男性が火炎瓶を投げている様子が目撃され写真も撮られており、私服警察がデモ隊に紛れ込んでデモの激化を内側から扇動しているのではないかと疑われている。
現地からの情報では、この“ニセ警官”の投げた火炎瓶は延焼しなかったという。メディアが報じている湾仔などのバリケードの放火は、デモ隊が警察の攻撃をかわすために、行ったという。

(「福島香織の中国趣聞」より)

 

農と島のありんくりん氏が続けて書く。

「このように投げられた火炎瓶は、ことごとく警官隊の手前の路上で炎上しており、本気で投げたのではなく「ある目的」をもって投げたと推測できます。それは中国による自作自演の狂言です。事実火炎瓶を投げる男の腰には、警官が使用しているクロック17拳銃が納まっていました。

このように自作自演で過激デモを演出し、それを理由に「緊急法」を発動する。そしてそれを戒厳令につなげる。これが追い詰められた習とラムの最後の目論見です。

 

農と島のありんくりん氏のこのブログ記事は今日(4日)の朝書かれたものなので、最悪の場合、習とラムにより「戒厳令」を想定したようですが、ラム長官の習近平に逆らっての決断によって武力弾圧は回避されました。

 

それにしても中国政府はあくどいことをする。暴徒化して暴れたのは当初から偽市民、偽運動家と言われていたのですが、その通りだったようです。

しかし、凄いのはこのような偽暴徒以外の多くのデモ参加者は整然としたデモをやり通して中国政府の挑発に乗らなかったということです。特別の組織もない、リーダーも専門家ではないのに学生や市民たちが、香港の自由を守り切ったのは素晴らしいことでした。

 

これを見た日本のマスコミと左翼知識人は何というか目に浮かぶようだ。テレ朝報道ステーションその他でのコメントは見ていないが、衝突回避を喜び、学生を賞賛し、ついでに日本も安倍政権をこの香港デモのような形で怒りをぶつけるべきだ、今の日本にはそんな勇気のある市民はいそうもない、とかなんとかコメントするのではないかと想像する。

 

なぜなら、韓国のデタラメなロウソク革命を礼賛して、日本でもああいうデモで安倍を追い落としたいのに、日本の民主主義は成熟していないとかなんとか言っていたはずだからだ。

 

だから今回の香港の民主化運動には左翼はよだれが出るほど羨ましいと思っているはずだ。

しかし、考えても身よ。香港の学生たちが闘っているのは、日本の左翼が大好きな中国、習近平様なんである。

日本の保守派が中国に反対すれば、左翼は怒り狂う。なら香港の学生たちの運動にも怒ってほしいものだ。大切な習近平様に彼らは造反しているのだから。

まあ左翼お得意のダブルスタンダードだからそんなこと屁でもないのだろうけど。安倍をやっつける材料として使えればいいだけの話だから。

 

といって私も最近の安倍政権には大反対だけどね。