名古屋に長く住んでいたから当然中日ドラゴンズを応援していたが、最近は昔の選手もみんないなくなり全くわからなくなった。根尾選手に早く試合に出てきてほしいくらいか。新監督の与田は現役時代を知っているから、頑張ってほしい。

しかし、今回のホント下らない騒動には与田監督のバカげた発言にはあきれた。

 

騒動とは次のようなものだ。

「ドラゴンズの私設応援団の公式ツイッターが201971、「当団体で使用している『サウスポー』について、チームより不適切なフレーズがあるというご指摘を受けました。この件について球団と協議した結果、当面の間『サウスポー』の使用は自粛させて頂くこととなりました」と発表した。

   サウスポーは、チームが好機の際に歌われるチャンステーマで、応援団が設立された2014年から使われている。原曲はピンク・レディーのものだが、歌詞は以下のように変えて歌われている。

 

オイ!オイ!オイ!オイ!オイ!オイ!
(レッツゴー<選手名>、レッツゴー<選手名>)
みなぎる闘志を奮い立て お前が打たなきゃ誰が打つ
今、勝利を掴め(オイ!オイ!<選手名>)

 

 球団のイベント推進部は1日、J-CASTニュースの取材に、「歌詞の『お前が』について、『選手にお前というのはどうなのか』『子どもも多く観戦する中で、そういう表現はいかがなものか』という意見を頂いたため、応援団と協議しました」と話す。意見元については答えられないとしつつ、今年に入ってからそうした声があったという。」J-CASTニュース)

 

お前が打たなきゃ誰が打つの「お前」が下品だというクレームがあったので、止めるというのだ。

恐らく、暇なクレーマー、それもかなりしつこいクレーマーに中日球団は負けてしまったのだろう。

 

選手にお前というのはどうなのか等の意見をみると、クレーマーの意図が透けて見えてくる。この意見には説得力が全く感じられない。だから、TBSのひるおびですぐに扱って、珍しく一般人の意見に文句を付けていた。立川志らくは勢い込んでコメントする。

 

「中日ファンの志らくは「子供にそういうの使っちゃいけないっていう、子供を無菌状態にするって教育上よくない。別にこれはこういう歌なんだから。そっちの方が、力が入るんだから」と指摘し「そんなこと言ったら、でんでん虫だってダメになる。お前の頭はどこにあるって子供の歌であるじゃないですか。ドラゴンズ何でこんなこと言っているんだろう」と憤慨した。

 その上で「敬愛する与田監督、親愛なるドラゴンズ球団、お前たちがおかしいだろう」とスタジオを笑わせ「歌うべきです」と主張していた。」

 

志らくは余り好きではないが、今回のコメントには全く同意する。言葉狩りを専門にするTBSテレビとしてはクリーンヒットだ。

「これはこういう歌なんだから」とは、「お前」という言葉だけを取り出して云々することは言葉の本質を知らないということを言っているのだ。つまり、言葉の意味、使い方というのは、文脈に依存するのである。当たり前のことだけど。言葉それ自体には複数の意味があって、いいとか悪いとか言えず、どんなところで使われたか文脈によって決まってくる。

「こういう歌」とは、応援歌として、今度のバッターのお前に期待しているぞ、と言っている。だから、「お前」という表現が生きてくる。これを「貴方」とか「君」とか「あんた」じゃ、応援に力が入らんだろう。

 

そんな当たり前な事柄に、与田監督が思わずバカなことを言ってしまった。(自粛発表後だから何としても間違っていないといいたかったんだね。いじめが明らかでも、いじめはありませんでしたと言い続ける校長先生のようなものか)

 

「中日・与田剛監督(53)は2日、「サウスポー」騒動について取材に応じ、報道陣にもフレーズの心証について確認した。巨人戦前の取材に応じる中で、ある名物記者を名指しし、与田監督は質問をぶつけた。
「みんな色んな意見があっていいと思うんです。じゃあAさんも『Aさん』と呼ばれるのと『お前』と呼ばれるかはどっちがいい?」と逆取材。答えを求められたベテランのA記者は「名前です!」と即答した。」

 

このベテランのA記者も与田に劣らずバカですね。さっき説明した言葉は文脈に依存するということを、この二人は知らないのだ。若い記者ならいざ知らず恐らく、双方50過ぎのいいおとっつぁんだろうに、日本語も知らないとは。

「『Aさん』と呼ばれるのと『お前』と呼ばれるかはどっちがいい?」ベテランA記者は「名前です!」

って、ふつうの会話なら当然「Aさん」と呼ばれる方が良いに決まっている。今そんなことが問題だったのかよ。違うだろう。応援歌で「お前」と呼んで盛り上がるかどうか、そしてそれは汚い下品な言い方なのかが問題なんだろうに。

 

ネットがいう。

・『お前が打たなきゃ誰が打つ』って狙い打ちでもサウスポーでも、昭和の頃からあったフレーズやで、今さら言うとか・・・仙さんも悲しんでるで、きっと。

・与田が特別バカなのか、野球選手が基本みんなバカなのかどっちなんだ。

・与田って村本みたいなことを言う野郎だな

 

ところで、クレーマーは何を目的としていたのだろうか。

私が想像するに、クレーマーの目的は「お前」という表現がよくない、取り消せという要求を通じて、球団を屈服させること、球団を自分の思い通りにすること、これが目的だったに違いない。それにより大いなる快感を得たいのだ。

 

というのは、立川志らくが言っているように、クレーマーの主張には納得性、説得性が全く感じられないのだから、中日球団もそう思ったはずなのだ。

だから、鋭意「お前」という表現に特段下品な、不快な感情を与えるものではないと主張したはずなんだ。

 

しかし、クレーマーはそんな正しいか間違っているかなんぞの論争はどうでもいいのである。球団をねじ伏せること、これが目的なんだから屁理屈と御託を並べて恐らく何十時間も交渉したに違いない。

そして球団は根負けしたのである。もういいよ、こんな下らないことに付き合ってられない。相手の要求を入れて、応援歌を自粛することにしよう、と折れたのである。

 

さて、これは私の勝手な妄想である。「お前」への文句だけで応援歌を自粛するとは思えないということから、想像をしてみたのであるが、これは先日の児童虐待殺人事件の際に、アンケートを父親に見せてしまった千葉の児童相談所を思い起こすのである。

 

別に球団による応援歌自粛がクレーマーのためなんぞと発表はしていないが、大体そんなことではないのかと想像できるのだ。

クレーマーとはどういうものかかを知っていればいろいろと役立つことがあるのである。