毎日よく続けて事件や災害が起きるものだ。交番襲撃拳銃強奪の次は震度6強の地震、そして今度は収監逃れの逃走劇だ。情報番組も(不謹慎ながら)忙しいがうれしい悲鳴を上げているかも。
強姦・強制わいせつに加え、監禁・傷害致死の罪でも有罪判決を受けており、少なくとも前科4犯の小林容疑者の実刑判決が確定し、保釈中であったので収監しようとしたが、横浜地検の職員や警官をしり目に逃亡。未だに捕まらない。逃亡自体が計画的犯行のようだ。
「おまえら騙したな」などと大声で叫んで、「準備するから出ていけ」と叫びながら台所から取り出した包丁を持って警官らを威嚇し、車に乗り込んで逃走したのだが、 小林の言う「おまえら騙したな」ってどういう意味だろうか。
お得意の妄想で推理して見ると、恐らく横浜地検の職員は小林受刑者に今日収監に自宅に行くということを伝えてあった。その時間は午後遅くではなかったか。しかし、自宅を訪れたのは午後1時過ぎだ。
当然横浜地検としては逃亡されては困るので少し早めに行った。小林としては最初から逃げるつもりで色々準備しておこうとしていたのに、早く横浜地検の職員が来てしまったために、ビックリ且つ頭に来て「おまえら騙したな」という叫びになった。小林はキレやすい男として評判なのだ。
そして、「準備するから出ていけ」という意味は、逃げる準備、つまり威嚇するための包丁を準備するという意味だ。「収監されるための準備」などでは全くない。
(あくまでも推測ですからね。念のため)
そして2人の警官は丸腰、5人もの横浜地検の職員は事務職員だから、暴行を止めるには素人で5人も雁首並べたって、包丁で脅されたら何の役にも立たないデクノボウ達だ。
この粗暴犯は楽々と自家用車に乗って逃走したという訳だ。
これをテレビで知って、如何に横浜地検の職員は善人揃いだということがよく分かる。前科4犯の粗暴犯に対して、逃げるかもという備えを全くしていない。申し訳程度に警官を連れてきたが、丸腰だし、逃げ道を塞ぐこともしていない。
「横浜地検から来たんだぞ」といえば大人しく収監されると初めから安心している。
これってどこかで見たことのある景色ではないか。そう日本国憲法前文と第9条だ。
「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」
つまり横浜地検の職員は、受刑者を「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」いたわけだ。
そして相手を信頼すれば、「われらの安全と生存を保持」できる。だから、9条の「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」を守る横浜地検は、受刑者の収監にあたって、警官に「武力による威嚇又は武力の行使は、永久にこれを放棄する」ため、丸腰にしたわけである。
要は話せばわかる、武力を持つから闘争になる、こちらが武力を捨てることが先決なのだと、受刑者の「公正と信義を信頼し」たわけだが、いとも簡単に破られてしまった訳だ。平和ボケ!
憲法9条信者は是非ともこの逃亡事件を教訓にしてもらいたいものだ。
収監時も容疑者の「公正と信義を信頼し」て検察は善意の行いをしたのだが、それは検察だけではなかった。裁判所も同様に善意の塊ともいえる行為、つまりこんな凶悪犯に「公正と信義を信頼し」て保釈を命じていたのだ。
刑事訴訟法第89条 には「保釈の請求があったときには、下記の場合を除いては、これを許さなければならない。」とあり、1項で「 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁固に当たる罪を犯したものであるとき。」と決められている。
つまり、小林受刑者を保釈してはいけないはずなのに。
フジテレビ「グッデイ」では、ヤメ検弁護士が
「小林容疑者が嘘の反省の色を見せていた可能性がある」
と解説していたが、なんだか胡散臭い。そんな程度の演技で裁判官は騙されるのだろうか。
反省というより裁判官自体が容疑者に対して善意の信頼を置いていたのではないか。つまり、反省するとかではなく、裁判官は、判決という国家的な措置に対して、保釈したからといって逃亡するなんぞという大それた行為はする訳がないという容疑者の「公正と信義を信頼し」ていたのではないか。
何だか、平和ボケ日本そのままではないか。平和ボケというより単なる「ボケ」か。高齢者の免許返上が取り沙汰されているが、平和憲法を順守し過ぎるお偉方の免許の方を先に返納してもらいたいものだ。
逃亡中の小林は収監逃れを前から計画していたようだから、簡単には見つからないだろう。
大阪府警に負けずに神奈川県警も頑張れよ。