本日(2.11)の石田昭氏のホームページ「新・地震学セミナー」にて、「苫小牧でのCO2圧入が再度停止中ですから警戒してください」と題して、近々苫小牧CCSによる誘発地震が起きる可能性が高くなったと警告しています。北海道東部にお住まいの方は注意して下さい。

 

「新・地震学セミナー」(2019.2.11)記事。

苫小牧でのCO2圧入が再度停止中ですから警戒してください

 

苫小牧CCSでの萌別層へのCO2圧入量が昨日はゼロになっています。1227日に再開されてから毎日200トン以上の注入がありましたが、29日には激減し、10日はゼロになりました。

210日の圧入量がゼロ(一時停止?)で、累積CO2圧入量は21,753トンとなっています。

 昨年9月に発生した胆振東部地震では以前に(2018.9.13)このホームページで報告したように、萌別層(浅い場所1.2km)と、滝ノ上層(深い場所2.8km)の2層への圧入停止後5日目に発振(地震発生)しています。
 今回の停止は萌別層(浅い場所)への圧入停止(一時停止?)だけで、滝ノ上層(深い場所)への圧入は実施されていませんから、影響は少ないのかもしれませんが、5日後の215日ごろまでは特別に注意をしておいたほうがいいかと思います。

(引用終り)

 

石田先生はCO2圧入の停止後が地震発生の危険性が高くなるとして、次のように書いています。

「地下の圧力を急激に上げたり、下げたりという操作をすることは、離れた場所にも圧力変化が伝播します。当該の貯留空間は解離が生じるような高い温度でなくても、伝播先の空間では解離条件が変化し、解離ガスの爆発(地震)という現象を引き起こしてしまう可能性があります。」
 

石田先生の2018.9.13のホームページ記事を引用します。

苫小牧CCS実証試験と地震について

苫小牧CCS実証試験では、主に苫小牧西港の沖合3kmの海底下の約1,000mの萌別層に二酸化炭素を貯留しており、貯留二酸化炭素は圧入地点を中心として、水平方向約500m以内の地層範囲に存在しております。

今回の地震の震源は貯留地点より水平距離で約31km離れた胆振地方中東部の深度37kmで発生しております(深さを考慮した直線距離で約47km)。

実際の二酸化炭素が圧入された地層と地震の震源が位置する地層とは連続性がなく、二酸化炭素の圧入による影響が本地震の震源まで及んだとは考えられません。

萌別層については、苫小牧西港の沖合3kmの海底下の約1,000mの地層に二酸化炭素を貯留しています。725日に圧入を再開し、91日より、二酸化炭素含有ガス供給元の都合により地層への二酸化炭素の圧入を停止したことで、地層の圧力と温度は低下しました(第1図)。累計圧入量は、207,209tです。

1図萌別層圧入井の圧力・温度の変化

 

滝ノ上層については、苫小牧西港の沖合4kmの海底下の約2,400mの地層に二酸化炭素を貯留しています。731日に圧入を再開したため、81日以降地層の圧力は上昇傾向にありましたが、温度については、圧入する二酸化炭素の温度が地層の温度より低く低下傾向にありました。

圧入停止で、地層の圧力は低下し、温度は僅かに上昇傾向となりました(第2図)。累計圧入量は98.2tです。

2図滝ノ上層圧入井の圧力・温度の変化

 

1図の萌別層を見ると、圧力はほぼ一定です。つまり一定の圧力でトコロテン式に地下水を押しやっていることが分かります。CO2そのものは所定の位置にあって、想定外の場所には貯留されないのかもしれませんが、押し出された地下水の先端部は何処になるのかを把握するのは難しいでしょう。

 

第2図の滝ノ上層では萌別層よりも深い地層に圧入しています。図を見ると81日から圧力が増大し、最大になった91日に圧入が停止され、その5日後に地震が発生しています。

地下の圧力を急激に上げたり、下げたりという操作をすることは、離れた場所にも圧力変化が伝播します。当該の貯留空間は解離が生じるような高い温度でなくても、伝播先の空間では解離条件が変化し、解離ガスの爆発という現象を引き起こしてしまう可能性があります。


貯水深の大きなダムでも、水位を激しく変化させると地震が誘発されることが知られています。水位の変化、つまり地球深部の圧力には急激な変化を与えないような操作が求められます。これが地震の発生メカニズムであるとすれば、断層地震説を信奉している現在の地震学者がいくら検討を重ねても、真相は見えて来ません。

どうやら、8月に入って急激な圧力変化を起こしたことが地震発生につながった懸念があり、これを捨てることは不可能です。慎重な吟味が求められます。

(引用終り)

 

石田先生は「今回の停止は萌別層(浅い場所)への圧入停止(一時停止?)だけで、滝ノ上層(深い場所)への圧入は実施されていませんから、影響は少ないのかもしれませんが、…」と述べているので地震発生の可能性は低いかもしれません。

 

しかし、今後滝ノ上層(深い場所)への圧入が実施され、何らかの理由で圧入停止をした場合、前回と同じような条件となるので、一週間後に地震発生の危険性が高くなるかもしれません。

CO2圧入と停止の動きを注意深く見守る必要があります。