北海道がブラックアウトになった理由を、ブログ「農と島のありんくりん」様から引用させていただきます。

 

「…今回の全域停電の原因は、あくまでも苫小東厚真火力にあまりにも偏った電力供給依存をしていたために起きました。 

誤解している人もいるようですが、福島第1事故のように送電網や変電所がダメージを受けたわけではありません。 

苫小東厚真火力の送電量が一瞬で消滅したために、他の発電所で支えきず周波数が一定にならなくなりました。 

電気は常に「同時同量」で運転されています。簡単に言えば、電気を送る量と使った量がピタッと一致せねばならないのです。 

これを放置すると、まず発電所の発電タービンの制御ができなくなり、異常回転を起こして破壊され、中継施設も破壊されてしまいます。 

発電タービンは中枢部分ですから、ここが破壊された場合、復旧の見通しはまったくたたなくなります。 

それを回避するために発電所を緊急停止しました。まったく正常な判断です。 

泊原発もそうですが、苫小東厚真火力も震度2ていどでは損壊することはありえません。事実、発電施設は9時間半後に復旧しました。 

今回の事故原因はこの緊急停止が行われたために、瞬時で北電の発電量の約半分が失われました。 

そのために送電網を部分切断して保護することができなくなって、バタバタと全域停電という事態にまで及んだのです。また北電のプレスリリースによれば、送電施設の被害も限定的でした。
このように極めて珍しい事故で、日本最初のケースですし、他の電力会社ならば周波数管理を分散させているために、そもそも起きないでしょう。」

(引用終り)

 

電力会社の危機管理方法など分かるわけもないのですが、「農と島のありんくりん」様の説明で大体の概要は把握できました。

 

しかし、最後の言葉にはちょっと引っかかりました。

「他の電力会社ならば周波数管理を分散させているために、そもそも起きないでしょう。」

ということは、他の電力会社ならば周波数管理を分散させているために全域停電は起きないが、北海道電力では周波数管理を分散させていないので全域停電が起きてしまったと。

すると北海道電力はなぜ周波数管理を分散できなかったのでしょうか。

もう少し情報を集めるしかないようです。

 

ところで、東日本大震災のとき、福島原発事故が起きて、今回と同じような電力供給の一部が途絶えたわけですが、ブラックアウトが起きなかったのは何故なのでしょう。周波数管理を分散させていたから?

 

別の観点から読売新聞が指摘したようです。

そしてそれに対するコメントもありましたので、紹介します。

 

投資コンサルタントの佐々木洋氏が発行するメルマガ「10秒で読む日経!」で扱われていました。

今回は、日経ではなく、読売ですが。

 

読売新聞 2019年9月10日

 北海道内の全域が停電となったブラックアウトについて、北海道電力は7日、主力の苫東厚真火力発電所の停止が急だったため、対応が間に合わなかったことが原因だと説明した。
ただ、ブラックアウトに至った経緯の詳細は、なお分かっていない。
専門家は、今回のブラックアウトを避ける手段として、特定地域の電力供給を絞って強制的に停電させる方法があったと指摘する。
東日本大震災で福島第一原発などが停止した際、東京電力は一部地域を停電にし、域内全域の発電所が停止するブラックアウトを防いだ。

 

佐々木の視点・考え方

この記事は私の知らない2つの事を教えてくれます。
東日本大震災の時に、フクイチが停止して東京電力の電力供給量が減った時に、東電が意図して一部地域停電を発生させることで、東京電力カバー域全体のブラックアウトを防ぎました。

 

フクイチの供給量は東京電力全体から見ればそう大きいものではありません。
しかし、一部発電所の停止があっただけでも、東電全体の電力周波数が落ちでしまいます。
通常は、必要最低限の予備電源しか準備しませんから、予備を使っても周波数は元に戻りません。
周波数が落ちれば、発電している発電所すべてが故障してしまいます。
これを防ぐため2011年の東京電力は一部地域のみ強制停電させました。
意図的停電で電力需要を減らすことで、東京電力全体のブラックアウトを防いだのです。

電力会社の中央給電施設は、こうした大事な役目を担っています。

 

しかし、北海道電力はこれをしませんでした。
3時8分に地震が発生した後、停電が発生した3時20分までの間に部分停電させるのに十分な時間がありました。

また、一部はその後も生きており、完全にブラックアウトしたのは9時過ぎの模様です。
今回の北海道全域のブラックアウトは、それを避ける手段があり、東京電力はそれが出来ていたのに北海道電力はしなかったために発生したようです。

(引用終り)

 

小の虫を殺して大の虫を助ける、ということですね。

この分析を読むと、ブラックアウトは、泊原発休止もさることながら、北海道電力の対応の稚拙さのようにも思われます。

 

北海道電力は、東電の対応を知っていて何らかの理由でやらなかったのか、それともそういう方法があることを知らなかったのか。

後者なら大問題ですが、キチンとした検証をして欲しいものです。