ついに日馬富士が引退した。残念だ。第一幕目は貴乃花の勝利か。日馬富士が暴行したのは事実だが、本当に引退までする必要があったのか。貴乃花のフレームアップのお蔭で、収まるべきものが収まらず、騒ぎがドンドン拡大していった。

 

 テレビのワイドショーは全て貴乃花擁護に回り見苦しかった。暴行は犯罪だとテレ朝の玉川は吠えた。確かに暴行したのは事実だ。

しかし、どんな犯罪でも(日馬富士暴行は重大な犯罪とまでは言えないが比喩として)単に犯罪結果の事実だけで裁かれることはない。必ず経緯や動機が問題となる。殺人だって殺された側に問題があれば情状が酌量される。例えば実の親が娘を暴行し、犯した場合たまりかねて父親を殺した娘は、殺人犯に違いないが、殺人に至る理由が斟酌されて判断される。当然のことだ。

 

 今回の日馬富士暴行事件も同様だ。だから、貴ノ岩の事情聴取も含め全容解明が求められたのだ。貴乃花の貴ノ岩聴取拒否には正当な理由がない。そもそも貴ノ岩がなぜ暴行を受けるに至ったかの要因が解明されてしかるべきだった。

 

 それがこの事件が明るみに出た時、日馬富士の暴行状況がかなり大げさに報道された。しかも情報源もいい加減なままで。40発も殴ったとか、日馬富士は酒を飲むと暴れる酒乱だということは有名だとか。

今日の日馬富士記者会見では、本人も酒を飲んで暴れたことはないと言っていたし、周りも酒乱などではないと否定している。つまり最初の情報はガセが多く、マスコミは自ら調べることもなく、無責任に報道しまくった。まあ無責任報道はいつものことではあるが。

 

 しかし、その情報の多くは貴ノ岩の兄が喋っていたことだ。貴ノ岩の兄が嘘をついたか、貴ノ岩自身が嘘をつき大げさに話したかのどちらかだ。もし、兄が嘘を付いているのなら、貴ノ岩が兄貴に向かって、修正をすることができたはずだが、後々も兄貴は貴ノ岩と話をして、大げさな被害を吹聴していたのを見ると、嘘をついていたのは貴ノ岩自身と考えざるを得ない。

 

 貴ノ岩は嘘をついたが、本人はこんな大きな問題になると考えていなかったのではないか。なぜなら貴乃花親方が貴ノ岩の話を信じすぎて暴走し始めたので、引っ込みがつかなくなった。釈明しようとしても軟禁されてそれもできなくなったのだ。だから尚更相撲協会の貴ノ岩聴取は重要になってくるのだ。

貴ノ岩がもし将来を考えるなら、貴乃花を説得して事情聴取に行かせて下さいと貴乃花に言うべきだ。それでも許してくれないなら、相撲協会に自ら電話すべきだろう。このままでは貴ノ岩の将来はない。

なぜなら、日馬富士の記者会見で、貴ノ岩への暴行は、弟弟子への礼儀、礼節を教えてあげるためだったとはなしているからだ。それは殴ることを目的に礼儀、礼節を教えようとしたのではない。言葉で説いていたのに、貴ノ岩の態度・言動があまりに悪く、冷静な日馬富士ですら激怒させるものだったということだ。

 

 貴乃花が偉そうに弟子には礼節を貴ぶように教えているとうそぶいていたが、全く貴ノ岩には効果がなかったのだ。そういうことが日馬富士の嘘であるのか、貴ノ岩が急に殴られたのが本当であるのか、どうしても相撲協会の事情聴取が必要になってくるのである。

 

これが暴行事件発生の原因を明らかにすることになり、暴行への情状酌量が出てくる可能性もあるのである。日馬富士ははっきりと酒を飲んだから起きた事件ではないと述べている。だから当初の日馬富士は酒乱だという報道はかなり意図的なものと考えられるのである。

 

貴乃花が貴ノ岩聴取を拒むのは、隠蔽とか何とかではなく、こういう事情が明らかになってしまうのが嫌なんだろう。

 

 マスコミは全テレビ局が貴乃花擁護一色だった。これがこの問題を複雑にした。横審のある委員は「日馬富士問題?貴乃花問題だろう!」と言い放ったという。

 

 日馬富士引退により、一応貴乃花は勝利した。次は相撲協会全体を揺さぶることだが、そうは問屋が降ろさないだろう。貴乃花の異常性が誰の目にも明らかになり、組織の上に立ち、組織を引っ張っていく器では全くない事を内外に明らかにしたからだ。第2幕に貴乃花の勝ち目はない。それよりもこんな貴乃花は角界にいらない。追放してほしいものだ。同時に貴ノ岩も。

 

今日ある本「ひとりぼっちの辞典」(勢古浩爾)を読んでいたら、これって貴乃花のことじゃないのか、という文章に出くわした。悪魔の辞典のようなある単語の著者による独自解説だ。

 

・バカ者 自我(私利私欲)の開放しか頭にない無神経な人間。昔は死んだら治ったが、いまのバカは死んでも治らない。

 

・卑怯 利を得るためならどんな汚い手でも平気で使い、不利を避けるためならどんな平気な嘘でも平気でつく、人間としてもっとも唾棄すべきこと。

(貴ノ岩を軟禁してまで利を得ようとする。人権侵害)

 

・屁理屈 どうしても無理なのに、自分をなんとしても正当化しようと、自分勝手にひねり出す悪あがきの論理。文字通り「屁」のように周囲に臭いをまき散らし、たちまち空中に消滅して、なんの効力もない。

(貴乃花の屁理屈は、臭いにおいがなかなか消滅しないのでやっかいな屁だ)

 

・論理 ひとりで社会の理不尽と闘うための思考力の武器。使い方によっては破壊力がある。しかし当然限度もある。筋ばった理屈だけで社会や人間が動いている訳ではないと早く知ること。そうでないと世間知らずとバカにされる。

(貴乃花はひとりで社会の理不尽と闘っているという信念に固まっているし、筋ばった理屈だけで社会や人間が動いている訳ではないなんてことは堕落そのものと思っているようだ。だから世間知らずとバカにされても、何の痛痒も感じない。そこが病気なんだけど。)

 

それにしても、日馬富士には暴行を自重してほしかった。余程貴ノ岩に腹を据えかねたんだろう。そういう育て方を貴乃花はしていたんだ。日馬富士引退は本当に残念である。貴乃花にはモンゴル力士にリスペクトはないのだろうか。貴ノ岩の礼節を忘れた態度を貴乃花は今後も咎める、教育をするということはしないのだろうか。まあ追放されてしまえばそういうことも必要なくなるが。