郷原信郎×森炎「虚構の法治国家」(講談社)を読んだ。ヤメ検で多くの事件に関係し、著作も多い郷原氏と裁判官上がりでユニークな発言をする森氏による対談本だ。
韓国の司法を笑えない。虚構の法治国家日本の恐ろしさがここにある。
昨今の特捜検察の不祥事で検察の権威はかなり落ちたが、裁判官は(左翼裁判官を除き)まだ信用できると思っていた。
しかし、この本で裁判官の威信も打ち砕かれた。戦前から検察官一流、裁判官二流は今も続いているという。
検察の作ったストーリーに合わせて判決する裁判官。無罪の心証があっても有罪(冤罪)とする裁判官。
組織の中の裁判官は評価や出世のため普通のサラリーマンと変わらず、上司やメンツを重んじる組織の論理に従い、冤罪作りも厭わない裁判官は人の死を何とも思わない犯罪者といえる。
平沢貞通帝銀事件等一度作られたストーリーは絶対変えようとしない検察、裁判官。恐ろしいことだ。一番得しているのは真犯人だけだ。
(冤罪が多いからといって、死刑制度廃止は反対だが。)
そして最近その犠牲となっているのが若き美濃加茂市長の収賄事件。これは検察による意図的な市長陥れでそのために収賄をでっち上げた。
それも贈賄業者側の高額融資詐欺をわざわざ軽くしてやるからとでっち上げを捏造した。いわゆる「やみ司法取引」だ。だから贈賄業者側もおいそれと本当のことは言えない。本当にひどいことをする検察だ。
しかし、村木厚生省高官冤罪事件等実際無実の人間を犯人に仕立てているのだから、名古屋検察もやりかねない。その無理がたたって地裁で無罪を勝ち取ったが、高裁で有罪となった。
当然高裁でも無罪になるはずだった。何せ証拠がないんだから。
しかし、有罪判決!この件と東芝の不正会計事件が関係していると経済問題の評論で人気の「闇株新聞」というサイトが指摘する。
東芝の粉飾決算は誰も逮捕されないのだが、証券取引等監視委員会佐渡委員長は東芝の不正会計を厳しく刑事事件化しようとしているとのこと。
しかし、なぜか検察庁は反対だ。
もうすぐ任期満了のため佐渡委員長の後任として長谷川充弘広島高検検事長が内定しているが、長谷川は美濃加茂市長収賄事件当時名古屋地検検事正として采配を振るった男。
もし高裁で無罪となれば長谷川次期監視委員会委員長がすんなりと誕生しない可能性も出てくると「闇株新聞」氏は指摘する。
是が非でも高裁で有罪にしたい。高裁の裁判官が検察のために力を貸すなんて普通なら考えられないが、この本を読むと検察と裁判所の癒着の可能性が現実味を帯びてくるのである。
メンツを大事にする検察。その割にASKAを逮捕したにもかかわらず、不起訴処分という大失態を仕出かすなんていうチョンボもするお粗末さよ。