あの日から14年。
あの時私がいた場所は、震度5強だった。
数年ぶりに友人と会うために、朝から車で出かけていた外出先。
お昼ご飯を食べて、お茶しながら数年分のおしゃべりをしようと、
楽しみにしていた日。
朝の時点では何も感じない空だった。
でも、地震が起きる30分~40分位前?かな、時間ははっきり覚えていないけれど、
空の色と言うか、空の表情と言うか、見上げた空が何だかいつもと違って見えた。
「早く帰ろう」と思わせるような、いやな感じのする空だった。
友人も空を見て、同じように感じて、「今日はこの辺で帰ろう」ってなった。
特別な霊感なんてないから、何も見えないし、何も聞こえたりもしないけど、
でも、なんか、空を見て「早く家に帰ろう」って感じたのが、いまだに不思議。
その帰り道の運転中、地震が起こった。
ものすごい激しい揺れ。
冷静に考えればわかるはずなのに
その時の私は、何が起きているのか、すぐに理解ができなかった。
そして、パニックになりながら周りを見渡すと、電柱も信号機も街路樹も、
周りの物全てが、自分の目の前で見たことのない程に激しく揺れ続けていた。
今にも倒れてくるんじゃないかと恐怖を感じると共に、
今、ものすごい大きな地震が起きているんだとわかった。
とにかく、怖かった。
あの時私がいた場所は、津波被害はなく、恐怖の中だけど家に帰ることもできた。
だから、テレビで初めて津波を見た。
テレビであの津波を見て、私は初めて「津波」の本当の姿と怖さを知った。
あまりにも衝撃的な出来事に、涙が出た。
福島第一原発のこともそう。
頭が追い付かなかった。
地震、津波、原発・・・
自分が生きている中で、人生の中で、こんなことが起こるだなんて。
本当に起こっていることだという事を、頭で理解する事が難しかった。
今でもそう。
当時の地震や津波や、被害にあわれた方のお話など、
映像を見たり話を聞いたりすると、
胸やのどのあたりが、ぎゅーっと苦しくなる。
悲しくて、切なくて、つらくて、涙があふれてくる。
この震災を
「忘れたい」「思い出したくない」過去 の人もいるだろうし、
「忘れたくない」「覚えておきたい」過去 の人もいるだろうと思う。
「忘れられない」「頭から離れない」状況で、今も過去と繋がっていて、
苦しんでいる人もいると思う。
生まれていなかったから「過去の出来事の1つ」の人もいると思う。
「忘れたのではなく、思い出す回数が減ってきた」の人もいると思う。
テレビや新聞での取り上げ方や、特集の組み方は、年々減っていると感じる。
私はあの時、東北にはいなかったけれど、あの震災の状況や
感じた気持ちは、伝えたい、残したいと思っている。
震災は、経験や状況も、感じ方も、色々な立場がある。
それぞれの立場で、3・11を思うことを忘れないようにしたい。