第15章 2011年02月11日 | リアルタイム経済小説「極小企業」

第15章 2011年02月11日

人は時間を意識しなくていい時ほど時計を気にする。
少なくとも朝倉はそうだった。

なんだか宙ぶらりんな気持ちになり何かにすがりつきたくなる。

それは時間という物が何よりも絶対的である証拠なのかもしれない。

しかし人は時間を相対的に捉える事によって正気を保っているという話を耳にした事がある。その真偽はおいておいて

感覚として、同じ1分が一瞬に感じたり、永遠に感じたり。

こんなことは珍しくない。

秒針からすると良い迷惑かもしれない。
彼(彼女かもしれない)は、ただ黙々と与えられた仕事をこなしているだけだ。

まあ、そんな秒針の想いは知る由もなく我々は変幻自在に自分自身の中で時を操っているのだ。

そんな事考えながら朝倉は久々の休日の昼下がりを過ごしていた。

あえて何もしない。何も考えない。

今日はその事を自分に課していた。

何もしない。何も考えない。

このことは意外に難しく、苦痛である。

春というものが遠い未来の事のある様な寒々しい日和、

朝倉は自らの殻に閉じこもり、その闇の中に身を置く事で何かを見いだそうとしていた。

この無の休日はこれからの自分にとって大きな意味を持つと信じて