第5章 2011年02月01日 深夜 | リアルタイム経済小説「極小企業」

第5章 2011年02月01日 深夜

02月01日深夜

朝倉は何の気なしにため息をついていた。

ため息は彼の中ではフェルマータの様な物だ。

フェルマータ。音楽的には休符や程よくのばす的な意味合いがある。
イタリアではバス停のことをフェルマータと呼ぶ。
なかなか、洒落た発想だ。

明日の開始を控え上手く寝付けそうになかった。

眠るのに苦労するタイプではないのだが今日は普段とは違う。

彼は深夜、考え事をしているといつも思う。

「夜は魔物が潜んでいる」

決して表には姿を表さないが彼にはその存在を明確に感じる事が出来た。

日が沈み、決して自らの裏側見せようとしない夜の空の番人が東の空に顔を出す。

そして、魔物も目を覚ます。

月は人の暗い闇の部分を照らし、魔物はそれを掘り起こす。

マイルス・デイヴィスとギル・エヴァンス、この二人のセッションのように絶妙な息で人々の心をかき乱すのだ。

大きな不安が朝倉を包む。

どうなるのだろう。。。

彼は目をとじ、暗く深い闇の中に身を埋めた。

夜の名コンビから身を隠すかのように。

「さあ、今日はどんな夢を見るのだろう」