モネの白内障についてすでに紹介しました。ここで身近な白内障症状を見てみましょう。白内障とは目の中のレンズの水晶体が濁る病気です。目の構造は、下の図のように水晶体というレンズが濁ると、光がそこでうまく通らなくなり、網膜に行く光が減り、見えなくなるのです。水晶体は最初は黄色で、徐々に赤褐色に濁ってきます。

ガスレンジを見てみましょう。青い炎が燃えています。

これに水晶体の色変化である赤褐色のカラーフィルムをかぶせてみましょう。

 疑似白内障であるフィルムが掛かっている場所は青い炎が見えなくなりますね。これは実際にあった事件ですが、白内障の進んだご婦人が火のついたガスコンロの炎の青色が見えなかったために、手を近づけて火傷を負いました。それ以外にも靴下の濃紺と黒の差が分からずに、紺と黒の靴下をを片方ずつ履くなんてのはよくあります。

 白内障の手術はどうかと言いますと、超音波で硬い白内障を砕いて小さくして中央の孔から吸出します。さらに、残ったカプセルの内側の薄い皮質を綺麗に吸引して、さらにカプセルをピカピカになるまでクリーニングをして、人工的な眼内レンズを入れます。

 この際に、僕は主に24焦点の最先端の多焦点レンズを移植します。すると、近くや中間や遠方など、途切れなく全ての距離が裸眼で見えます。もう手術後にメガネはいらなくなります。しかも、レースカットという削り出しでレンズを作るので100年は持つのです。いっぽうで、日本で流通している多焦点レンズは2焦点か3焦点であり、しかも型に流し込んで作るモールディング法製造なので、分子間結合が弱くて間に水の分子が入り込み、10年で濁ってしまうという、短期間でダメになってしまうのが多いのです。眼内レンズの材料は非常に重要であり、国際眼科学会では重要な課題です。

 僕は長年アメリカ眼科学会で理事を務めて、アメリカの眼科医など世界の眼科医を指導してきました。レンズの材料は重要です。人生100年時代であり、僕の使う多焦点眼内レンズでは全ての距離が裸眼で見える24焦点であり、かつ削り出しで100年は持つレンズ寿命なのです。もちろん技術は世界最高のものが求められるのことは再度強調したいのです。白内障手術の経験数や技術で、僕自身は十数万件経験があるだけでなく、常に世界最高の結果を出すようしており、僕にとっては手術は芸術そのものなのです。芸術とは常に最高を極めるからです。

白内障は薬は全く効きません。予防法としては成人になったら紫外線を避けることが重要です。外でゴルフをしたり車の運転などでは、短波長を防ぐ黄色ややや茶色のついた医学用のサングラスを付けるのは、目の病気の予防にはとても重要なのです。