フェローシップが始まるなり、頭の奥でいつも気にしていたこの日付。

もう間近である。婦人科腹腔鏡の学会を11月にひかえ、課題発表の締切日なのである。

フェローだけでなく、アカデミック病院で働く医師とっては、学会への参加、もちろん課題発表はとても重視される。

ましてやフェローとして勉強中である身としては課題発表を成功させることは自分自身の修行成績を公に発表できることなので、価値が高い。


..とはいっても、何を発表していいのやら。このねたをみつけるのが大変。


研究発表、症例報告とそしてビデオによる発表など多種多様である。

フェローになった初期から私のボスは研究内容についていつも問いかけてきた。

研究をしたことがないと、研究課題になりそうな

症例や話があっても自分の注意がむかないので、案も出ない。結局、最初の案はボスからもらった。ボスもいまだに私がボスの案をすんなり受け付けたことに対して、ぶつぶついっている。

私のほうとしては、研究を学ぶことも私のフェロー研修の中のひとつの目標であり研究内容を助けてもらってどこが悪いのかって思ってしまうが。。。。

研究をやり遂げて始めて、視野が広がっていくものであると最近思った。

ボスも辛口に自分自身でつくりあげた案をだすようにと支持して来る。

ボスの提案した研究と私が作り上げた研究は始まったばかりで今年の学会発表にはつながらない。そこで日常に見る症例や手術場で学ぶ腹腔鏡の技術についてビデオ作ることに決定。

3月にはいったころから、課題づくりにヒートアップしてきた。私も時間のあるときは常にコンピュータに向かった。

ビデオ作りはコンピュータにふづいしてくるフィルム作成アプリケーション等をつかうことで比較的簡単にできる。コンピューターのお陰でワンタッチで

ビデオを短縮したり、タイトルをつけたり、演出効果をつけたりと楽しいものである。

と思ったのはつかの間、ビデオの内容がはっきりしてくると今度は名密な調整が必要となってくる。ナレーションを加えるタイミング、タイトル表示の長さ等、微妙な調整にとても時間がかかった。

ボスに出来具合をみせ、ダメだしをいくつも出され、それをひとつづつ、直していく。

ボスとの何十回にもわたるやり取りを繰り返した。私のボスは結構、細かい。

今月から就任してきたノルウエー出身の先生に見せるといつも“OK”とか“ナイス”といって、タイトルの長さが短いとかタイトルの部分にコンマが抜けているなどのコメントはひとつもない。。。。タイトルのスライド作りを彼としたとき、私が“先生、ここにコンマをつけるほうがいいですよ”とコメントすると“気にする必要ないよ”といわれた。

ボスにダメ押しされるのが嫌で、私もかなり細かく、物事を対処しているのに気づき。。なんともいえない思いだった。というのも、私は自分のボスの教えで、いい意味で細かく物事を見るようになったが、ノル先生のようにザックバランに対応してくれると私の緊張も減るのになあと思ってしまう。

ナレーション作りもかなり時間がかかった。英文での作成と録音。

録音は喉がからからになりながら、何度も何度も同じフレーズをマイクに向かって話した。

なれない英語のいいまわしに、つまづったり、どもってしまったりと。

結構自分でも笑えた。普段のときより、ゆっくりめに話、そしてはっきり聞こえるように

口も大きくして発音!ニュースのナレーターになったような気分を味わえて楽しかった!

ボスが休暇を取っていた先週はこのビデオ製作に専念。

二つのビデオを作り上げ、締め切りまでになんとかボスの満足するものに作り上げねば!!

一方、ノルウエー人先生は同じ時期に4つのビデオを作製、さっさと学会に課題を提出してしまった。。。この先生、50歳過ぎの超ベテラン。さすがである。