お腹は突っ張るし、背中はギックリ腰だし。
歩くとへっぴり腰になり、点滴ジジイに抜かれまくる。腹筋に力が入らないから、動作にエンジンがかからない。
部屋にもあるが、少しでも歩くためにトイレにある洗面でなるべく歯を磨いている。
毎朝定刻によく似た地味なパジャマを着たジジイたちがここに並ぶ。おはようもなく、みんなしんどいから渋い顔。
まるで、刑務所だ。
ただ黙々と歯を磨く音だけが響いている。ジジイは意外と丁寧に歯を磨く。仕事が終わると、それぞれが自分の部屋へ戻っていく。
フィットネスクラブのマシンジムでもウロウロできるようなウエアは私だけ。まあ、みんな年が一回り上だから。きっと奥さんが入院用のパジャマをイトーヨーカ堂で買ってきたのだろう。皆、ほぼ同じ。
食事の時も似ている。病院も刑務所も、唯一の楽しみは食事。カロリーを抑えた野菜中心のメニューが定時に制服組によって配給される。
タコ部屋なのでカーテンで視覚は遮られているが、音は溢れる。会話もBGMもない静寂の中を、ジジイたちの食べる音だけが駆け回る。
家ではわがまま放題のジジイたち。ルールは自分。明らかに唇を閉じた咀嚼はできない。クチャクチャと大きな雑音。汁を飲む音も豪快。
昭和一桁は早食いだから、喉によく詰める。咳込みつつ、絡んだ痰も中々出ない。カー!カー!と痰をだそうとするが、往復してるだけ。
やっと出せると思ってもジジイはテッシュなど使わない。ゴミ箱に直接ぺっ!ぺっ!ぺっ!と直接出すからとってもエコ。周りが食事中でも堂々と行われる神聖な儀式なのだ。
そして、最後には大きなブリブリ!明らかに腹筋に力を入れているから確信犯。だって、その後必ずはぁ〜と吐息が漏れる。
私にとっては、病院も刑務所も似たようなものだ。
早く、娑婆に出たい。
