父の密かな楽しみ真夜中、父さんがときどき牛にな るようになった。 今も庭で草を食んでいる。 「みっともないからやめさせてよ」と母さんに言っても、 「まあ、害になることでもなし、お隣さんも気付いてないみたいだからいいじゃないか、 それにおまえ、父さんのお乳だってなかなかいけるじゃないの」と、まるでとりあってくれない。 結局、今日もしぶしぶ父さんの乳をしぼりながら、 「いいかげんにしてよね」とぶつぶつ言ってみるが、 父さんは相変わらず、モオーって気持ち良さそうに鳴くだけで、 さっぱり埒があかない。