海の底には、珊瑚が住んでいるという。
しかし私は見たことがない。
私の見る海はいつだって黒く濁り、淀み、
そしてうねるだけの無機質な歌を歌う。

それでも私は、たとえば海の話を聞いたとき、
まっさらな、真っ青な海を描くのだ。
たとえ事実がどうであれ、
それが望んだ光景だから。

海を越えて、いつかあなたに会いに行く。
そのことを話すたび、私とあなたは笑ってばかり。
それは楽しいからなのか。

それともただ、それを望んだだけなのか。