信じられない話だけれど、
海の向こうに、
何も食べずに、
何も飲まずに、
ただ空気だけを吸って生きている、
そんな女性がいることを、
あなたは知っているだろうか。
若くして戦場で死んでいった我が子を思い、
生きる気力を失って、
何を口にする気力もなく、
子の死を知ったその日から、
何も食べずに床に伏していた。
「私はこのまま死ぬのだろう。」
そう思いただ時を過ごしていた。
けれどある朝、彼女の体は、軽くなった。
歩けるようになり、
動けるようになり、
世界は光で満たされた。
彼女は言う。
目に見えない何かが、私に生きなさいと、教えたのだと。
彼女は言う。
それはきっと『神様』なんていう、陳腐なものではないのだろう。
それはきっと『亡き息子の想い』なんていう、不思議なものではないのだろう。
きっと私は、世界という『物語』に生かされている。
『物語』は終わらない。
だからきっと、私もまだ終われないのだ。と。
死ぬこと。
生きること。
終わること。
終わらないこと。
全てはそこにあり、
全てのものはどこにもない。
それが世界で、
それが物語。
私の物語は、
いつもここに存在している。