日本の食料自給率は、昭和35年度(1960年度)の79%から減り続け、最近では38%になった。

農林水産省

自給率が高かった頃の食生活は、日本で採れる米や野菜などでの食事が中心。最近では、日本の食生活が変わり、外国からの輸入が多い小麦(パンやパスタなど)や肉を使った料理もたくさん食べている。

日本の食料自給率の低下には、日本人の食生活の大きな変化も影響。

世界の自給率を調べてみると、面白いことに、日本だけ、カロリーベースが用いられている。

農林水産省
日本は平成29年度、韓国は平成28年、スイスは平成27年、それ以外の国は平成25年の数値。


それゆえに、多くの日本人B層は、こう信じている。

日本の食料自給率は低い。
世界的食糧危機が将来やって来るから、日本は食料自給率を高めて備えなければならない。
日本の農業は弱く、保護しなければ崩壊してしまう。

しかし、いずれも農林水産省がでっちあげた大嘘でインチキだという。

浅川芳裕:日本は世界5位の農業大国

カロリーベースの自給率は、率の分母は国民1人1日あたりの供給カロリー。国産に輸入を加えているが、この供給カロリーは、我われが実際に消費した分ではなく、食品工場やコンビニエンスストア、レストランなどで捨てられる、誰の胃袋にも入らない食品廃棄物など、年約2千万トンも含まれているらしい。

1965年から「生産額ベースの自給率」が公表されていたところ、1980年代に自給率に突然「カロリーベース」が登場して発表されるようになる。

浅川氏は、この背景には、牛肉やオレンジの日米農産物自由化交渉が盛んだったことがあり、「カロリーベース」の方が輸入依存度が高いことを示せるので、農林水産省省が自由化を阻止する宣伝手段になると判断指摘。

国民の危機感をあおるのに、4割程度の数字はちょうどいいという、農水省最大の「ヒット商品」だ。

これによって、財務省の官僚が毎年の予算折衝で「食料自給率」が下がってもいいのか、と脅されたという。予算も確保しやすく、農村を基盤とする政治家や農協にはありがたい計算式。

カロリーベースの自給率を農業政策の柱にしているのは、世界でほぼ日本だけ。

農林水産省が発表する先進国の「自給率」も、国際食料農業機関(FAO)の統計などから自ら計算した「自作自演で、米価をつり上げるため「自給率」向上と矛盾するコメの減反政策を続けている

生産高ベースで見れば、日本は66%と他の国に見劣りせず、日本の農業生産額も約8兆円で、世界5位。日本はれっきとした農業大国だと、浅川氏は主張。



一方、生産額ベースでも、2013年で68%と高くはなるが、それでも先進国中で最低で、真の食料自給率は、もっと低いのではないかと危惧する農家もいる。


畜産物に関しては、エサの自給率も按分される。卵は、ほぼ国産(95%)であっても、ニワトリのエサの大半が輸入(エサの自給率が10%)なので、真の卵の自給率は9%になるという。


また、食品廃棄も大量に発生し、その廃棄分のカロリーも分母として含まれるので、廃棄が多いほど低くなる。


野菜や穀物で検討すると、ほとんどの農家が使っている化学肥料、特にリン酸・カリウムは、ほぼ輸入に頼っているのが現状。大規模農業には、トラクターなど農業機械が必要で、その燃料の軽油やガソリンなどは、外国から輸入した化石燃料(チッソは国内製造だが、製造に必要なアンモニアを生成するために、莫大なエネルギーが必要)。


今や、日本の野菜や穀物は、肥料もエネルギーもすっかり外国に依存している


日本のエネルギー自給率は約4%。語弊を承知で大ざっぱに言えば、生産にかかるエネルギーを按分した日本の“真の食料自給率”は「39%×4%≒1.5%」なのかもしれない。


アメリカは、リン鉱石とカリウムを「戦略的物質」と位置づけて輸出を禁止。肥料価格の高騰は日本の農業に多大な影響を与え、いつまでも外国から輸入できる保証もない。自給率を「国防」という観点から考えるのであれば、食品単体ではなくそれを生み出す肥料やエネルギーなど、トータルに考えなければ意味がない



1980年代のキューバでは、今の日本と同じぐらい自給率が低かった。その農法も、ソ連から入ってくる石油や化学肥料に頼った「現代農法」だった。1990年代初頭のソ連の崩壊でエネルギーや肥料の輸入はストップ。さらにアメリカからの経済封鎖も加わり、「餓死者が何万人も出るのではないか」と言われた絶体絶命の危機に、(当時の)カストロ議長が目をつけたのは、化学肥料に頼らず大量のエネルギーも必要としない「小規模有機農業」


その結果、キューバの農業自給率は飛躍的に上がり、今では有機農業の先進国となっている。



日本が忖度しているうちに、隣の中国やロシアでは、粛々と農業改革が進んでいる☟。

ロシアが固定種オーガニック野菜の輸出大国を目指す

https://ameblo.jp/do-not-stop-thinking/entry-12434193482.html


日本人B層の自衛として、小規模有機農業の「かかりつけ農家」を(購入して)支えたり、家庭菜園で自給自足に取組みたい。



[参考・引用]
「日本の食料自給率」農林水産省
「日本の“真の食料自給率”は1.5%」ハーバービジネスオンライン