国内の大手3社の小麦製品から除草剤グリホサートの成分が微量ながら検出された。
日本人B層の消費行動でも、市場が変わる可能性は十分ある。
日本消費者連盟の纐纈美千世氏と、食と農から生物多様性を考える市民ネットワークの小野南海子氏らが、スーパーで販売されている大手製粉会社「日清フーズ」「日本製粉」「昭和産業」3社の小麦製品を調査したところ、12商品中5つから除草剤「ラウンドアップ」の主成分であるグリホサートが検出。
WHO(世界保健機関)の専門組織、国際がん研究機関は、グリホサートの発がん性を認めている。
2018年には、グリホサートが原因で悪性リンパ腫を発症したという米カリフォルニア州の男性の訴えを裁判所が認めて、発売元のモンサント社(現バイエル社)に対し、約320億円(その後、約84億円に減額)の支払いを命じる判決も出て、同様の裁判が約8,000件も起きている。
アメリカの一部のスーパーやホームセンターでは、店頭からグリホサートの成分を含む除草剤を撤去する動きもあり、フランスでは、2019年1月15日にラウンドアップや関連商品が販売禁止となった☟。
残念ながら、日本では、グリホサートの残量基準が除草剤会社の要請で緩和されてしまい、100円ショップやホームセンターでも家庭菜園用の「ラウンドアップ」(日産化学)が販売中。他にも、「ネコソギ」(レインボー薬品)、「サンフーロン」(大成農材)などの商品名で、同様の成分が入った除草剤が簡単に手に入る。これらが家庭菜園や公園などに撒かれて除草されている。
今回、日本で販売されている小麦から、グリホサートが検出された小野氏の見解は、
グリホサートは劇薬ですから、作物に使用すると、枯れてしまいます。ですから、グリホサートをまいても枯れないように遺伝子を組み換えている大豆やとうもろこし、なたねなどにしか使いません。小麦で遺伝子組み換えは認められていないので、グリホサートは使わないはずですが、アメリカやカナダ、オーストラリアでは、収穫前の麦にグリホサートをかけ、枯らすことで乾燥させて収穫の手間を省いています。日本は小麦の国内生産量が少なく、約85%を3カ国から輸入しているので、冒頭のように検出されたのでしょう
今回、すべての小麦製品を調べたわけではなく、汚染はどこまで進んでいるのかへの小野氏の回答。
小麦は政府が海外から輸入し、それを各メーカーに割り振っています。輸入小麦を使っているかぎり、どのメーカーの小麦からも検出される可能性があります
大手製粉会社3社の見解では、国が安全性を確認しているので問題ないという。
外国産小麦は、国(農水省)から買い付けています。国は原料小麦を輸入する際に残留農薬の安全性を確認していますので、製粉会社は国が安全を確認した小麦を買い受けております(日清製粉グループ本社)
輸入小麦につきましては、農水省が輸入時に食品衛生法に基づいた検査を船ごとに行い安全性を確認しております(日本製粉)
外国産小麦は、輸入時に農水省が残留農薬等に関するポジティブリスト制度に基づく検査を実施し、安全性を確認したうえで製粉会社に売却されております。(中略)残留基準は、人の健康に害を及ぼすことのないよう、厚労省により食品ごとに認定されています(昭和産業)
グリホサートが入っている食品を、口にしないためにはどうしたら良いか、元農林水産大臣で弁護士の山田正彦氏は語る。
アメリカでは、女性たちが食品会社やスーパーなどに対し、農薬を使わない有機食品の製造や販売を求めた結果、多くのスーパーで有機食品が販売されるようになっています。子どもに有機食品だけを食べさせるようになったら、年間の医療費が10分の1以下に減った、という報告もあります。日本でも、消費者の行動で市場を変えられるのです
日本人B層の消費行動でも、市場が変わる可能性は十分ある。
[参考・引用]
「『発がん性』除草剤成分が大手3社の小麦粉に、欧州では規制も」女性自身WEB、2019.1.18