多国籍企業Googleの租税回避が巧妙。
2014年度のGoogleは660億100万ドル(約7兆7,850億円)の売上げを計上し、純利益は144億4,400万ドル(約1兆7040億円)。最終利益率約22%の超優良企業。
Googleは2007年から2009年にかけて、31億ドル(約3,660億円)の税金を納めていないという。
節税方法は「ダブル・アイリッシュ・ダッチ・サンドイッチ」と呼ばれる租税回避を使っている。
本社は米国であるが、海外事業の中心拠点はアイルランドにある。この他に租税上のメリットを得るためだけのオランダの持ち株会社、また別のアイルランド法人も登記。
まず、本社は別のアイルランド法人に対して、本社が開発したシステムを利用する権利を譲渡。その法人がその権利をさらにアイルランドの海外事業の中心拠点に貸与し、権利を用いて実質的なビジネスを行う。
別の法人はアイルランドで登記されているが、その経営管理を租税回避地の英領バミューダで行っている。アイルランドでは、国内で経営管理を行っていない企業には法人税の納税義務が免除されるために、その法人税の納付先はバミューダになる。
バミューダには法人税がなく、実質的に納税しなくてよい。
その法人がアイルランドの中心拠点に貸与した権利の使用料にかかる税金は、本来であればアイルランドで源泉地国課税されるので、これを回避するためにオランダの持ち株会社を利用。オランダは権利使用料収入に課税しない租税条約をアイルランドと結んでおり、アイルランドの中央拠点はオランダの持ち株会社を経由してアイルランドの別の法人に権利使用料を支払えば、アイルランドでの権利使用料への課税も回避できる。
こうしてGoogleは、年間1,200億円以上の租税回避を行なっている。
オランダやバミューダなど、主産業を持たない国は、外国から多くの企業を誘致するために、企業に有利な税制を設けており、多国籍企業の税務担当者らは税制を徹底的に研究して組み合わせて、税金を安くする仕組みを作っている。
英国民間団体「タックス・ジャスティス・ネットワーク」によると、1999年から2007年の日本国内の徴税漏れで失くした税収総額は17兆円という。