text=カタオカ
DMXに入って2年半か。
ようやく春らしくなってきた今日この頃。
オフィスのバルコニーでジャイアントコーンを食べながら、僕はそんなことを考えていた。
結婚式の余興が2本という多忙を極めた4月が終わり、自分のリズムを取り戻した所為もあるのだろう。
ふと、2人の後輩が目についた。
坂田くんと、大崎くんだ。
それぞれ大きなミッションを抱え、忙しく駆け回っている。
かわいい後輩の一生懸命な姿。
それはとても清々しく、そして誇らしいものだが、同時に少し心配になったのである。
心のケアは万全か!?
心を亡くすと書いて「忙」とはよく言ったものだが、業務と必死に向き合う中で、何か大切なものを忘れてしまうというのも事実だ。
その晩、とびきりドライなシェリーを飲んでいた僕は居ても立ってもいられず、2人を呼び出した。直感的に彼らが悩みを抱えていると感じたからだ。(あと僕がブログの当番を忘れていて、ネタにも困っていたからだ。)
俺がどうにかするしかない。
打合せと称し、深夜のオフィスへ。
深夜、のこのことオフィスに舞い戻った2人。悩みがありそうな顔だ。
もちろん、悩みに対して直なアプローチはしない。
あくまで自然な成り行きで彼らの闇を引き出すのだ。
僕「なあ、好きな娘とかいる?」
坂田「え、何ですか?一体。」
大崎「僕、結婚してますよ。」
滑り出しは悪くない。
僕「ああ、そうだったね。でも大丈夫、俺なんかずっと嫁さんに無視されてるから。」
先輩の弱い部分を見せることで、後輩の気持ちは一気に緩む。
ちなみに僕は一度も結婚をしていない。
大崎「マジっすか!?えー、マジっすか!?」
大崎くんはどうやら人を信じ過ぎるらしく、ソッコーで僕の術中にハマっている。今度、高い壷を売りつけるとしよう。
坂田「嫁さん?片岡さん、飲んでます?」
「なんで写真撮るんですか?」と坂田くん。ブログのネタだよ、君。
一方、つい先日、大金の入った財布を落とした坂田くんは疑心暗鬼になっている様子。
ちなみに僕は相当飲んでいる。
「後輩たらし 後編」へ続く