手術をして数日後の出来事
バイト先の古本屋はエアコンをつけると寒すぎる感じだったので常温にしてた。
そしてしばらくして
気付くと不思議なことが起こってた。
体感ではそんなに暑いとか感じてないのに
背中や胸からとめどなく汗が出続けてる。
素肌に一枚着てただけの緑色のTシャツは、
あっという間に大きなまん丸の汗ジミを作った。
「なんじゃこりゃー」と思いつつも、
これが例の代償性発汗なんだと認識した。
ここから自分の体の変化を意識するようになる。
止まったのは手のひらの汗だけじゃなく、
顔、首、両腕、肩も汗がまったく出ず、
それ以外の体の部分は逆に汗が増える。
要は汗をかく部分が均等じゃないということ。
出る部分は大して暑くなくてもバカみたいに出るし、
出ない部分はどんなに暑くたって絶対に出ない。
まずはこのアンバランスさに慣れなきゃならなかった。
でもなぜか最初の夏は、代償性発汗でそんなに辛い思いをした記憶がない。
体の変化を感じつつも、この頃はむしろ手汗が止まった喜びのほうが勝っていたからかも。
夏だけじゃなく冬にも苦しめられることだって、
まだ知らなかったし。
つづく...