ブリュワーズ青木宣親の快進撃と米球界での日本人野手の意外?な傾向の違いを考える-2 | スポーツを語ろう-ZE!!

ブリュワーズ青木宣親の快進撃と米球界での日本人野手の意外?な傾向の違いを考える-2

《前回より続く》
ここで先に述べた「土のグラウンドと人工芝」について細かく説明しよう。まず日本球界。
甲子園と広島、さらに広げても地方での開催を別にすれば日本の球場はすべて人工芝だ。これに対して全米では古きよき時代の復興を望む声から天然芝回帰の傾向がある。マリナーズのシアトルに至っては人工芝かつコンクリート造りの弊害を持つキングドームをとり壊してまでその旧キングドームのとなりにこだわりの芝、雨の多いシアトルの気候を受けにくい造りを地下に持つグラウンド、そして晴れた日には綺麗な青空も臨める開閉式屋根のセーフコ・フィールドをわざわざ建造するほどだ。
日本人内野手のほとんどはバウンドの綺麗な人工芝でプレーしていた。だが日本では高い評価を受けた守備力を持った彼らでさえ土のグラウンドでの不規則なバウンドには相当手こずり、松井稼頭央に至ってはミスに厳しいニューヨーカーのブーイングの標的にされてしまった。人工芝の規則的なバウンドと土のグラウンドのファジーな打球の行方…考えてみれば、彼らにとって人工芝での打球はその規則的な軌道が故にボールのコースがある程度パターン化されていたのだろうから少しでも想定外のボールの動きがあれば、例えば突如ショートバウンドでもしようものなら急な軌道修正を迫られても困難なのかもしれない。そして毎回毎回そんなトラブルと戦っていればパニックになっても不思議ではないほどだ。一方外野にしても天然芝と人工芝の違いはあるが、少なくともゴロに限れば打球の勢いが落ちているところへ人工芝に比べて反発力の落ちる天然芝でさらに打球の力が落ちる分やはり内野手ほど困難は少ない。(ただし一方外野は外野で左右非対称のグラウンドや球場によっては特殊な形状のフェンスによるクッションボールの処理など内野にはない苦労もあるので一概に内野
にばかり負担が偏るともいえないことも付記してはおくが、それでもトータルとしてどうか…)

さて、話を青木に戻そう。これまでは内野手と外野手の違いという視点で話をしてきたが、今度は青木本人にスポットを当ててみよう。
私の知る限り、青木はまず宮崎の日向高で投手をやり、その後早大に進む。その後打者として頭角をあらわした後ドラフト4位でヤクルトに入団するもまだこの頃はファンの目に触れてもいなかった。ヤクルトに入団して2年目の05年から青木の本領発揮が始まるのだが、それまでは全くといっていいほど無名だったのだから、れっきとしたエリートというよりもむしろ苦労を重ねてブレイクした"雑草"に近い。だがそれだけにハングリー精神もハンパではなかったのだろう。決して鳴り物入りで入団したわけでもなかったにもかかわらずいつの間にかヤクルトを代表する選手になっていったのだから。
そして今年から米球界に活躍の場を移すも最初はマイナー契約。
ある意味振り出しに戻った感じもあったが、しかしだからこそこれまで青木自身が歩んできた道が本物かどうか真価をはかるには格好のシチュエーションといえた。もしダメならこれまでの青木の歩みもそこまでだが、日本での本格デビューと似た状況に加えて代打やDHでの起用がかえって心身のダメージ軽減につながった部分もあったのではないか。唯一守備につかないことによるリズムの狂いは懸念していた。もっとも青木の活躍をみる限りそれもほぼ杞憂に終わっている。そしてそれに加えて先に指摘した外野守備の限られた負担など、そうした要素全てを加味して青木ならある程度やれそうな予感があったのだ。

結果は予想通りともいえるし、予想以上ともいえた。何しろ今朝の第2打席の四球などはほとんど敬遠にも近いものだったのだから。明らかに青木は相手バッテリーにも恐れられる存在になっている。

だが、青木にとってこれからが本当の勝負になるのも事実だろう。これからはナ・リーグ14球団はもちろん、来年以降のインターリーグではア・リーグ16球団からも今以上の調子が続く限り間違いなくマークされるであろうから。

ひとまず青木宣親のメジャーライフは今こそ本当に始まったとみるべきだろう。
今後壁にぶち当たることもあるかもしれないが、そこで青木本人が自らのアメリカンドリーム・ストーリーをどのように綴っていくかで今後が決まるのだから。