“底辺”からスタートし、“あと一歩”で終わった“名門の夏”
2010年夏、高校野球神奈川県大会…
横浜スタジアムがメイン会場となってから33年もの間“あと一歩”のところで夏の甲子園出場を何度も阻まれ、いつの日か「ハマスタの呪い」などと揶揄されるようにまでなってしまった東海大相模…
だが、その相模もついにその重い扉をこじ開け、夏の聖地へのライセンスを手にする日が来た。惜しいところまできていただけに、それまでの幾多の挫折をみてきた相模の門馬監督ならばいずれはその難関を突破するものだろうと思っていたが、猛暑の中で繰り広げられる夏の大会ということもあり傍にはわからぬ苦労もあればまた傍には想像できないほどの喜びや感慨があったことだろう。
その一方で、県下ではもちろん聖地甲子園でも幾多の輝かしい痕跡を残した名門校が今年は屈辱ともいえようノーシードからのスタート…そう、あの横浜高である。
その横浜高が、決勝で相模に敗れた…
そしてあれだけ甲子園を沸かせた強豪も08年夏を最後に4期も甲子園をご無沙汰することになる。それだけでも信じがたい響きを感じるところだが、昨年でも筒香という桁外れの大物がいたのに今年は投攻守とも総じて小粒だ。強いていえば一年夏に筒香とともに甲子園出場をはたした今年度キャプテンの大石のセンスに期待がかかるくらい…ただ、この大石がいなければ今年夏の快進撃がなかったのも事実ではある。
それについては後述するが、それにしても今年の横浜高は甲子園出場どころか、見るからに人材不足の感が否めなかった。特に投手陣の崩壊は目を覆うばかり。
当初は下級生の頃からハマ高のマウンドを守っていた3年生の中岡が経験を買われて投手陣の主軸として活躍していた。だが、私も前年から彼のピッチングをみていたが、同じ2年時でも松坂や涌井ほどの将来性は失礼ながら彼からは正直感じられなかった。果たして中岡はセンバツ出場の参考データとなる秋の大会で敗れたばかりでなく、投球内容に明るいものがなかったからか渡辺監督を失望させてしまったものだが、投手ばかりでなく打線も例年に比べてスケールダウンした印象を受けた。
元々横浜高のような学校は、他の学校でのレギュラーを希望する生徒も多いため自分から門を叩く者は意外なほど少ないとは聞いている。中岡をはじめ3年生には気の毒な言い方ばかりで誠に恐縮なのだが、この学年にはその弊害がもろに直撃したことを実感してしまった。
シード校からも外された…今年のチームに限っていえば浮上の見込みもない…だが、ここで結論を述べてしまえば、そんなどん底からでも185校を相手に決勝まで進んだのだからやはりこの学校はモノが違う、ということだ。
その県大会もはじめのうちは苦戦続きだった。しかも無名校に接戦を強いられるほど戦力不足を露呈していたものだった。
発奮の意味も込めてだと思うが、渡辺監督ら指導者は毎年「今年のチームは力がない」といってるそうだ。だが特に今年のチームには手応えを感じられなかった、とも聞いている。それもそんな事実を耳にするにつれ、説得力が増してくる…
だがそれでも一戦一戦強くなって決勝まで進んでもおかしくないチームに仕上げてくるところがこの学校の“伝統の力”なのだろう。結局は相模に力の差を見せつけられてしまったが、例年に比べればマイナスともいえるところからスタートしながら大会中にはいつの間にか甲子園出場チームにふさわしいところにまで持ち直してきたのだ。
先に述べたキャプテンの大石は「横浜に汚点を残してしまった」と泣き崩れていたが、とんでもない。
これだけ難しい状況でここまでチームをまとめたのだから胸をはるべきだ。渡辺監督も「こんなキャプテン、二度と現れないでしょう」と口にした。あの渡辺監督にそこまで言わせる男などいるものではない。実際私も初めて聞いた気がする…
1年生にして甲子園に出ていたこともあり、大石は入学した頃から「横浜マニア」と聞いていた。そんな“ハマ高愛”が、今ではすっかり見られなくなったが毎日ユニフォームを泥だらけにするような、まさに体を張っているかのごとく必死でチームを整える形となって表れていたようにも思える。その横浜への思いも甲子園の常連として聖地のグラウンドを賑わせた横浜の姿が導いたものであるのはいうまでもないだろう。そう考えると、敗れてなお横浜が長年培ってきたものの大きさを改めて実感できたようにも見えるのだ。
それにしても大石主将には本当にお疲れ様と言いたい。名門と言われながらなかなか戦力が整わない…歴代横浜高の中でもかなり大変な中で数々のハンデを乗り越えてこれだけチームを作り直してきたのだから。ある意味過去の横浜ナインが体験していないであろうことを体験したに違いない。今後の人生に生かしてほしいものだ。
さて、新チームとして切られた横浜の来季に向けてのスタートはもう既に始まっていることだろう。
今年の大逆襲を演出してみせたのは最終的には1、2年生だった。今年の県大会での経験は一つ一つが貴重なものとなるのは語るには及ぶまい。来年の横浜高の戦いぶりがまた楽しみになってきたが、そのためにも今年県大会で身についたことを上手に無駄なく有効に生かしてほしいものだ。
横浜スタジアムがメイン会場となってから33年もの間“あと一歩”のところで夏の甲子園出場を何度も阻まれ、いつの日か「ハマスタの呪い」などと揶揄されるようにまでなってしまった東海大相模…
だが、その相模もついにその重い扉をこじ開け、夏の聖地へのライセンスを手にする日が来た。惜しいところまできていただけに、それまでの幾多の挫折をみてきた相模の門馬監督ならばいずれはその難関を突破するものだろうと思っていたが、猛暑の中で繰り広げられる夏の大会ということもあり傍にはわからぬ苦労もあればまた傍には想像できないほどの喜びや感慨があったことだろう。
その一方で、県下ではもちろん聖地甲子園でも幾多の輝かしい痕跡を残した名門校が今年は屈辱ともいえようノーシードからのスタート…そう、あの横浜高である。
その横浜高が、決勝で相模に敗れた…
そしてあれだけ甲子園を沸かせた強豪も08年夏を最後に4期も甲子園をご無沙汰することになる。それだけでも信じがたい響きを感じるところだが、昨年でも筒香という桁外れの大物がいたのに今年は投攻守とも総じて小粒だ。強いていえば一年夏に筒香とともに甲子園出場をはたした今年度キャプテンの大石のセンスに期待がかかるくらい…ただ、この大石がいなければ今年夏の快進撃がなかったのも事実ではある。
それについては後述するが、それにしても今年の横浜高は甲子園出場どころか、見るからに人材不足の感が否めなかった。特に投手陣の崩壊は目を覆うばかり。
当初は下級生の頃からハマ高のマウンドを守っていた3年生の中岡が経験を買われて投手陣の主軸として活躍していた。だが、私も前年から彼のピッチングをみていたが、同じ2年時でも松坂や涌井ほどの将来性は失礼ながら彼からは正直感じられなかった。果たして中岡はセンバツ出場の参考データとなる秋の大会で敗れたばかりでなく、投球内容に明るいものがなかったからか渡辺監督を失望させてしまったものだが、投手ばかりでなく打線も例年に比べてスケールダウンした印象を受けた。
元々横浜高のような学校は、他の学校でのレギュラーを希望する生徒も多いため自分から門を叩く者は意外なほど少ないとは聞いている。中岡をはじめ3年生には気の毒な言い方ばかりで誠に恐縮なのだが、この学年にはその弊害がもろに直撃したことを実感してしまった。
シード校からも外された…今年のチームに限っていえば浮上の見込みもない…だが、ここで結論を述べてしまえば、そんなどん底からでも185校を相手に決勝まで進んだのだからやはりこの学校はモノが違う、ということだ。
その県大会もはじめのうちは苦戦続きだった。しかも無名校に接戦を強いられるほど戦力不足を露呈していたものだった。
発奮の意味も込めてだと思うが、渡辺監督ら指導者は毎年「今年のチームは力がない」といってるそうだ。だが特に今年のチームには手応えを感じられなかった、とも聞いている。それもそんな事実を耳にするにつれ、説得力が増してくる…
だがそれでも一戦一戦強くなって決勝まで進んでもおかしくないチームに仕上げてくるところがこの学校の“伝統の力”なのだろう。結局は相模に力の差を見せつけられてしまったが、例年に比べればマイナスともいえるところからスタートしながら大会中にはいつの間にか甲子園出場チームにふさわしいところにまで持ち直してきたのだ。
先に述べたキャプテンの大石は「横浜に汚点を残してしまった」と泣き崩れていたが、とんでもない。
これだけ難しい状況でここまでチームをまとめたのだから胸をはるべきだ。渡辺監督も「こんなキャプテン、二度と現れないでしょう」と口にした。あの渡辺監督にそこまで言わせる男などいるものではない。実際私も初めて聞いた気がする…
1年生にして甲子園に出ていたこともあり、大石は入学した頃から「横浜マニア」と聞いていた。そんな“ハマ高愛”が、今ではすっかり見られなくなったが毎日ユニフォームを泥だらけにするような、まさに体を張っているかのごとく必死でチームを整える形となって表れていたようにも思える。その横浜への思いも甲子園の常連として聖地のグラウンドを賑わせた横浜の姿が導いたものであるのはいうまでもないだろう。そう考えると、敗れてなお横浜が長年培ってきたものの大きさを改めて実感できたようにも見えるのだ。
それにしても大石主将には本当にお疲れ様と言いたい。名門と言われながらなかなか戦力が整わない…歴代横浜高の中でもかなり大変な中で数々のハンデを乗り越えてこれだけチームを作り直してきたのだから。ある意味過去の横浜ナインが体験していないであろうことを体験したに違いない。今後の人生に生かしてほしいものだ。
さて、新チームとして切られた横浜の来季に向けてのスタートはもう既に始まっていることだろう。
今年の大逆襲を演出してみせたのは最終的には1、2年生だった。今年の県大会での経験は一つ一つが貴重なものとなるのは語るには及ぶまい。来年の横浜高の戦いぶりがまた楽しみになってきたが、そのためにも今年県大会で身についたことを上手に無駄なく有効に生かしてほしいものだ。