投手交代に思う−1
さて、なかなかスペシャルを書く間がないのであるが…(苦笑)
今回は高校野球総括の続編として文中に何度か指摘した投手起用について、自分自身で思ったことを書き綴ってみようと思う。
―――――――――――
まず、1回戦の岩手・花巻東-長崎日大。私はこの日旅行中につき試合の前半は見ていなかったが、宿についてテレビをつけたときは4-2、長崎日大リードで迎えた7回裏だった。一死一、二塁からここで長崎日大はオーバーハンドのエース大瀬良(おおせら)からサイドハンドの寺尾に交代。このときに「流れがかわるのでは」と直感したのである。ではなぜ、流れがかわると判断したのか。
右の力投派のエース大瀬良に対し寺尾は右のサイドハンド。
上手から横手にかわることで打者としては目先が変わるのは言うまでもない。だからこの発想自体は間違いだとは思わないし、長崎県大会はこのパターンで乗り切ってきたのだろう。だからそれを応用した。こんなところだと思うし、その意図するところはわかる。だが舞台は甲子園の全国大会。しかも投攻守三拍子揃えた優勝候補の花巻東である。そうそうマニュアル通りの戦法が通用する相手でもない。
しかも花巻東は右はもちろん左にも好打者が多い。そう考えると寺尾では危険だ。なぜか。右のサイドハンドだからである。
元々サイドハンドは左打者とは相性が悪いという。それを克服するためにサイドハンド投手はシンカーやフォークなどの縦の変化をマスターすることで克服する。ヤクルト高津臣吾、西武潮崎哲也、オリックス酒井勉などはそうして苦手の左打者対策を練って弱点を克服していったのだ。ところが寺尾は、失礼ながら球威、制球、変化球どれをとっても平均レベルだ。そして何より問題だったのが踏み出した左足がアウトステップして開き気味に出てくること。
サイドハンドの場合、右打者なら自分の背中のあたりから手が出てくるケースも多いためさほど影響はないかもしれない。だが、それだと幾分体も開き気味に出てくるため左打者にとってはボールの出どころが見やすくなる。左打者にも好打者を揃えている花巻東を相手にしたのでは危険だという理由はここにある。実際に打てる打てないは別にしても花巻サイドには「いける」という手応えを与えかねない。私が総括の後半で「投手交代を考えるなら相手打者の特徴や相性まで考えるべきだ」といっていたのはこうした考え方があるからだ。
案の定寺尾は花巻打線につかまり4-4の同点に追いつかれてしまう。その後は花巻の左打者を何とか退けて同点のまま味方の攻撃に託す。幸い味方打線は小柳の本塁打で1点をリード。並みの打線ならここで“勝負あった”となってもおかしくない。そういうムードも漂い始めていたのだが、その裏左の猿川が中前打で出塁すると一気に流れは花巻へ。エラーも絡めた無死満塁からエース大瀬良がマウンドに帰ってきたが、無死満塁では頼みの大瀬良でももはや花巻打線を止められず、痛恨の逆転打を浴びた。
県大会での勝ちパターンなどいろいろあるのはわかるが、あの7回一死一、二塁…長崎日大・金城監督はもう少しエース大瀬良で辛抱しきれなかったのだろうか…試合の流れを相手にやりたくない、それはわかる。だが、そこでエースにかけることができないようではエースに対する信頼感がイマイチぐらいにとられても仕方ないだろう。あとできいたところでは大瀬良に疲労の色があったから代えたということなので判断の難しいところだったのも察しがつかないわけではないが、せめて打者もう一人様子をみてから判断してもよかったのではないかという思いは禁じ得ない。それから代えたのでは手遅れ…の危険性も確かにあるが、そのまま踏ん張りきる可能性…そして次の回のトップから寺尾に代える効果…それを考えてもよかったと思う。その方が相手も急遽攻め方をかえなければならなくなって面食らうし、寺尾にとってもイニングはじめからランナーのいない状況からスタートした方がプレーしやすく、かつもっと思い切って持ち味を発揮できたのかもしれない。まして寺尾は甲子園初登板。大瀬良続投でも寺尾へのリレーでももしかしたら結果は一緒だったかもしれないが、せ
めてブルペンでの寺尾のできや寺尾と花巻打線の噛み合わせについてもう少し考慮にいれていれば結果は違ったものになっていた可能性もあったのではないかと思う。途中まで押し気味に試合を進めていただけにもったいない気すらするのだ、だからこんな見方も自然としたくなるのである。少なくとも「これがうちのマニュアルだから」「勝ちパターンだから」「エース大瀬良のスタミナを考慮」などという安易な考えをもっていたようならこれを機に投手交代についてもっとよく考える必要性を感じるべきではないかと思う。
スタミナについてもしかり。継投策を考えるのは結構。しかしみだらに投手を代えるのではなく、まず交代のタイミングをよく考えること。そして以前にも話したが、特に3回戦までは連戦連戦の準々決勝以後と違って試合間隔もあくので先発投手にはいっぱいいっぱいまで試合を託した方がいいと思う。その方が救援投手に無駄な負担をさすこともなく、試合の流れを狂わせることもないだろうからだ。
まぁ1回戦とはいえ、花巻東が相手だったということで我々の想像以上に難しい面も多々あったと思う。ただ、特に投手交代の場合はもっとオーソドックスに考えて実行するのがやはり基本ではないだろうか。
物事というのはあくまでセオリーをベースに組み立て、オプションを考えるのはそれから。この投手交代で改めてそれについて気づかされたように思う。
今回は高校野球総括の続編として文中に何度か指摘した投手起用について、自分自身で思ったことを書き綴ってみようと思う。
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まず、1回戦の岩手・花巻東-長崎日大。私はこの日旅行中につき試合の前半は見ていなかったが、宿についてテレビをつけたときは4-2、長崎日大リードで迎えた7回裏だった。一死一、二塁からここで長崎日大はオーバーハンドのエース大瀬良(おおせら)からサイドハンドの寺尾に交代。このときに「流れがかわるのでは」と直感したのである。ではなぜ、流れがかわると判断したのか。
右の力投派のエース大瀬良に対し寺尾は右のサイドハンド。
上手から横手にかわることで打者としては目先が変わるのは言うまでもない。だからこの発想自体は間違いだとは思わないし、長崎県大会はこのパターンで乗り切ってきたのだろう。だからそれを応用した。こんなところだと思うし、その意図するところはわかる。だが舞台は甲子園の全国大会。しかも投攻守三拍子揃えた優勝候補の花巻東である。そうそうマニュアル通りの戦法が通用する相手でもない。
しかも花巻東は右はもちろん左にも好打者が多い。そう考えると寺尾では危険だ。なぜか。右のサイドハンドだからである。
元々サイドハンドは左打者とは相性が悪いという。それを克服するためにサイドハンド投手はシンカーやフォークなどの縦の変化をマスターすることで克服する。ヤクルト高津臣吾、西武潮崎哲也、オリックス酒井勉などはそうして苦手の左打者対策を練って弱点を克服していったのだ。ところが寺尾は、失礼ながら球威、制球、変化球どれをとっても平均レベルだ。そして何より問題だったのが踏み出した左足がアウトステップして開き気味に出てくること。
サイドハンドの場合、右打者なら自分の背中のあたりから手が出てくるケースも多いためさほど影響はないかもしれない。だが、それだと幾分体も開き気味に出てくるため左打者にとってはボールの出どころが見やすくなる。左打者にも好打者を揃えている花巻東を相手にしたのでは危険だという理由はここにある。実際に打てる打てないは別にしても花巻サイドには「いける」という手応えを与えかねない。私が総括の後半で「投手交代を考えるなら相手打者の特徴や相性まで考えるべきだ」といっていたのはこうした考え方があるからだ。
案の定寺尾は花巻打線につかまり4-4の同点に追いつかれてしまう。その後は花巻の左打者を何とか退けて同点のまま味方の攻撃に託す。幸い味方打線は小柳の本塁打で1点をリード。並みの打線ならここで“勝負あった”となってもおかしくない。そういうムードも漂い始めていたのだが、その裏左の猿川が中前打で出塁すると一気に流れは花巻へ。エラーも絡めた無死満塁からエース大瀬良がマウンドに帰ってきたが、無死満塁では頼みの大瀬良でももはや花巻打線を止められず、痛恨の逆転打を浴びた。
県大会での勝ちパターンなどいろいろあるのはわかるが、あの7回一死一、二塁…長崎日大・金城監督はもう少しエース大瀬良で辛抱しきれなかったのだろうか…試合の流れを相手にやりたくない、それはわかる。だが、そこでエースにかけることができないようではエースに対する信頼感がイマイチぐらいにとられても仕方ないだろう。あとできいたところでは大瀬良に疲労の色があったから代えたということなので判断の難しいところだったのも察しがつかないわけではないが、せめて打者もう一人様子をみてから判断してもよかったのではないかという思いは禁じ得ない。それから代えたのでは手遅れ…の危険性も確かにあるが、そのまま踏ん張りきる可能性…そして次の回のトップから寺尾に代える効果…それを考えてもよかったと思う。その方が相手も急遽攻め方をかえなければならなくなって面食らうし、寺尾にとってもイニングはじめからランナーのいない状況からスタートした方がプレーしやすく、かつもっと思い切って持ち味を発揮できたのかもしれない。まして寺尾は甲子園初登板。大瀬良続投でも寺尾へのリレーでももしかしたら結果は一緒だったかもしれないが、せ
めてブルペンでの寺尾のできや寺尾と花巻打線の噛み合わせについてもう少し考慮にいれていれば結果は違ったものになっていた可能性もあったのではないかと思う。途中まで押し気味に試合を進めていただけにもったいない気すらするのだ、だからこんな見方も自然としたくなるのである。少なくとも「これがうちのマニュアルだから」「勝ちパターンだから」「エース大瀬良のスタミナを考慮」などという安易な考えをもっていたようならこれを機に投手交代についてもっとよく考える必要性を感じるべきではないかと思う。
スタミナについてもしかり。継投策を考えるのは結構。しかしみだらに投手を代えるのではなく、まず交代のタイミングをよく考えること。そして以前にも話したが、特に3回戦までは連戦連戦の準々決勝以後と違って試合間隔もあくので先発投手にはいっぱいいっぱいまで試合を託した方がいいと思う。その方が救援投手に無駄な負担をさすこともなく、試合の流れを狂わせることもないだろうからだ。
まぁ1回戦とはいえ、花巻東が相手だったということで我々の想像以上に難しい面も多々あったと思う。ただ、特に投手交代の場合はもっとオーソドックスに考えて実行するのがやはり基本ではないだろうか。
物事というのはあくまでセオリーをベースに組み立て、オプションを考えるのはそれから。この投手交代で改めてそれについて気づかされたように思う。