第91回高校野球選手権総括−3
さて、守備の次に指摘したいのが、打撃。
今大会、花巻東の菊池雄星を筆頭に好投手もそれなりには目についた。だが、恐縮ながら私個人の観点から正直に言わせてもらうと、今大会で印象に残っているのは投打いずれかで選択せよと言われればやはり打線の方である。特に準決勝に進出した4校はいずれも強力な打線を持つ。中でも優勝した中京大中京は火がつき始めると手がつかないほどの集中打を発揮し、準優勝の日本文理は決勝を含む5試合すべてが二ケタ安打である。そしてこの2校の打線に甘い球は即致命傷につながる。準決勝の中京-花巻東で中京の逆転直後にマウンドに立った菊池雄星の139キロのやや力強さに欠けた投球を走者一掃の三塁打を放ち満塁の走者すべてをホームに迎え入れて試合を決定づけたシーンは象徴的ですらあるし、新潟・日本文理のあの粘っこい、切れ目のない打線についてはに5点を入れて1点差に迫った最終回を例に出すまでもないほどだろう。また、初戦敗退組ではあるが、大会ナンバーワン投手の菊池から3本の本塁打を集めた長崎日大の破壊力も見逃せない。
ところで、この、今名前をあげた三校に共通した特徴がある。
それは“叩きつけるバッティング”これである。
過去にももちろん強打を売りにした学校はあった。そして打撃の強力なチームほどこの“叩きつけるバッティング”もある程度は、できていた。しかし今大会ほどその叩きつけるバッティングをかなり高いレベルで徹底して身につけ、またそういう学校が多数揃っていたケースはさほど記憶にないような気がする。
中でも印象に残っているのが、まず長崎日大の小柳が花巻東の菊池から放ったこの日チーム3本目となったホームラン。菊池の球のキレや威力が本来のものではなかったとはいえ、コースも低く、決して打ちごろの球だったというのではないが、コンパクトなスイングでしっかり上からさばいていた。チームの逆転負けで霞んでしまった感も強いが、その意味で彼に限らず長崎日大の打線は全体的に怖さがあった。あれでは恐らく菊池の調子が万全であったとしても苦投は免れないのではないかと思うし、もし長崎日大が上位進出でも果たしてなおかつあのシャープなバッティングを繰り広げ続けていればかなりの注目を浴びていた可能性も十分あったと思う。
もう一つ例を出そう。決勝戦の中京-文理の試合。2-2からエース堂林のタイムリーヒットで2点を勝ち越してなお死球で満塁とした中京がピッチャーへの内野安打でさらに1点を追加し、その後の走者一掃の三塁打につながるのだが、このピッチャーへの内野安打もかなり強くグラウンドへ叩きつけたものだった。あの場面のように通常ピッチャーへゴロの打球が飛んだときはダブルプレーを狙うためにもファーストかセカンドがベースカバーに入るのがセオリーであるのはいうまでもない。だが一度強くグラウンドで跳ねて勢いも角度も異様についてしまったため、結局最後はピッチャーが処理したものの、そのボールがどこへ飛ぶかの判断がすぐにできなかったことで野手のベースカバーが遅れてしまったのだ。叩きつけた打球の怖さというのはこういうところにも出てくる。
実際、中京打線の打球の威力が発揮されたのはそのケースばかりではない。
打球に勢いがつきすぎて正面に飛んだ打球でも相手野手がファンブルするケースもしばしば見られるほどだ。
叩きつけるバッティング。これままた野球をやる上で基本中の基本であることは述べるまでもない。
しかしその基本をどれだけ大事にできるか。それができたらできた分だけ塵も積もれば式に大きなアドバンテージとなってものをいうのである。しかしそれにしても改めて、叩きつけるバッティングのこれまであまり意識することのなかった脅威。これは高校野球全体を通じても大きな収穫の一つといえるだろう。
今大会、花巻東の菊池雄星を筆頭に好投手もそれなりには目についた。だが、恐縮ながら私個人の観点から正直に言わせてもらうと、今大会で印象に残っているのは投打いずれかで選択せよと言われればやはり打線の方である。特に準決勝に進出した4校はいずれも強力な打線を持つ。中でも優勝した中京大中京は火がつき始めると手がつかないほどの集中打を発揮し、準優勝の日本文理は決勝を含む5試合すべてが二ケタ安打である。そしてこの2校の打線に甘い球は即致命傷につながる。準決勝の中京-花巻東で中京の逆転直後にマウンドに立った菊池雄星の139キロのやや力強さに欠けた投球を走者一掃の三塁打を放ち満塁の走者すべてをホームに迎え入れて試合を決定づけたシーンは象徴的ですらあるし、新潟・日本文理のあの粘っこい、切れ目のない打線についてはに5点を入れて1点差に迫った最終回を例に出すまでもないほどだろう。また、初戦敗退組ではあるが、大会ナンバーワン投手の菊池から3本の本塁打を集めた長崎日大の破壊力も見逃せない。
ところで、この、今名前をあげた三校に共通した特徴がある。
それは“叩きつけるバッティング”これである。
過去にももちろん強打を売りにした学校はあった。そして打撃の強力なチームほどこの“叩きつけるバッティング”もある程度は、できていた。しかし今大会ほどその叩きつけるバッティングをかなり高いレベルで徹底して身につけ、またそういう学校が多数揃っていたケースはさほど記憶にないような気がする。
中でも印象に残っているのが、まず長崎日大の小柳が花巻東の菊池から放ったこの日チーム3本目となったホームラン。菊池の球のキレや威力が本来のものではなかったとはいえ、コースも低く、決して打ちごろの球だったというのではないが、コンパクトなスイングでしっかり上からさばいていた。チームの逆転負けで霞んでしまった感も強いが、その意味で彼に限らず長崎日大の打線は全体的に怖さがあった。あれでは恐らく菊池の調子が万全であったとしても苦投は免れないのではないかと思うし、もし長崎日大が上位進出でも果たしてなおかつあのシャープなバッティングを繰り広げ続けていればかなりの注目を浴びていた可能性も十分あったと思う。
もう一つ例を出そう。決勝戦の中京-文理の試合。2-2からエース堂林のタイムリーヒットで2点を勝ち越してなお死球で満塁とした中京がピッチャーへの内野安打でさらに1点を追加し、その後の走者一掃の三塁打につながるのだが、このピッチャーへの内野安打もかなり強くグラウンドへ叩きつけたものだった。あの場面のように通常ピッチャーへゴロの打球が飛んだときはダブルプレーを狙うためにもファーストかセカンドがベースカバーに入るのがセオリーであるのはいうまでもない。だが一度強くグラウンドで跳ねて勢いも角度も異様についてしまったため、結局最後はピッチャーが処理したものの、そのボールがどこへ飛ぶかの判断がすぐにできなかったことで野手のベースカバーが遅れてしまったのだ。叩きつけた打球の怖さというのはこういうところにも出てくる。
実際、中京打線の打球の威力が発揮されたのはそのケースばかりではない。
打球に勢いがつきすぎて正面に飛んだ打球でも相手野手がファンブルするケースもしばしば見られるほどだ。
叩きつけるバッティング。これままた野球をやる上で基本中の基本であることは述べるまでもない。
しかしその基本をどれだけ大事にできるか。それができたらできた分だけ塵も積もれば式に大きなアドバンテージとなってものをいうのである。しかしそれにしても改めて、叩きつけるバッティングのこれまであまり意識することのなかった脅威。これは高校野球全体を通じても大きな収穫の一つといえるだろう。