日本のグラウンドも原点回帰?−1
※メインテーマでは“世界一性格の悪い男…”シリーズを連載中だが、少々思うところもあるので今回はこの記事を…
―――――――――――
実は、私は日本城郭の愛好家でもある。
ま、名の知れぬ古城にまで詳しくはないがどこにでもある標準的な資料に載っている程度の名城なら少なくともその構造については結構精通しているつもりなのだが…
ところで城のシンボルとして位置すべき天守閣(あるいは天守に相当していた旧御三階櫓)には現存天守と復元・模擬天守…大きくわけるとそういう区分けになる。
このうち昭和以降に再建された復元天守は元々外部の形こそ当時とほぼ同様に設計してはいるものの、その内部となるとまるで古いオフィスビルを思わせるような味気のない資料館がほとんどである。いわゆる“外観復元”というやつだが、しかもコンクリート造りの代物だから、少なくとも現存天守にあるような木材や漆喰の醸し出す生々しさは伝わってこない。また現存天守の内部と両方を目にした方の何人かにはギャップや違和感を感じた人も少なくないのではないか?
それが15年ほど前に静岡・掛川城を皮切りに木造で復元される天守閣が現れ始めた。宮城の白石城、福島の小峰城、愛媛の大洲城…そしてこれらに共通するのが当時とほぼ同一の寸法で復元されていることだ。つまり城郭建築は“原点に戻った”ということになろう。
ところで、今年から広島東洋カープは新装のマツダスタジアムでプレーをするようになった。この球場はプロの本拠地としてはかつての後楽園球場、東京スタジアム、神戸のスカイマークスタジアムに次ぐ内外野天然芝のボールパークとなった。また、甲子園球場もいずれは内野まで天然芝にするらしいが、そうなればこれまで以上にまばゆい高校球児の熱い夏が期待できることだろう。
それはともかく、このマツダスタジアムの誕生や改装段階の甲子園に見られる天然芝回帰現象に日本の城の復元天守閣のに見られるような変遷とどこか重なるものをみるのだ。そしてそのキーワードはもちろん“原点回帰”である。
おそらく日本の建築にコンクリートの技術がもらたらされてそれが城郭建築にも応用されたのと同様のことと思うが、70年代中盤に後楽園スタジアムに日本初の人工芝が導入されたことは本当に画期的であったという。何しろスカイマークスタジアムという例外はあったにしろ、つい最近までは楽天イーグルスのクリネックススタジアムでさえ新球団を迎えるための球場改築にあたってわざわざ土のグラウンドを人工芝に変えたほどだから、もはや日本では人工芝の球場というのが一つのステイタスのような見られ方すらされていたのだから。まぁそれもそうなって然るべきかもしれない。外野が天然芝なら内野は土だけ、というグラウンドが多い日本では“天然芝コンプレックス”に知らず知らず苛まれていたかもしれないのだから。
しかし外観のみのコンクリート造りの天守閣が史跡としては趣にかけるのと同様、人工芝での野球では野球本来の趣という部分で欠けるものがあるばかりでなく、イレギュラーバウンドなどの不可抗力からくる面白さや予期せぬハプニング、またそれによって研ぎ澄まされる計算力まで奪うという弊害もある。こうしたことが重なって、アメリカのいくつかの球団本拠地では古くからあった人工芝の球場を取り壊してまで天然芝の球場を造って“古きよき時代”の再現をあちこちで図ったほどである。日本の場合は、おそらく予算等の問題もあったのかそのあたりの対応が遅れ気味だった。だが、このマツダスタジアムのケースを契機に本格的な天然芝の見直しが始まるような気がする。
キリがよいので、これも第二部(以降?)をつくるとしよう。
(続く)
―――――――――――
実は、私は日本城郭の愛好家でもある。
ま、名の知れぬ古城にまで詳しくはないがどこにでもある標準的な資料に載っている程度の名城なら少なくともその構造については結構精通しているつもりなのだが…
ところで城のシンボルとして位置すべき天守閣(あるいは天守に相当していた旧御三階櫓)には現存天守と復元・模擬天守…大きくわけるとそういう区分けになる。
このうち昭和以降に再建された復元天守は元々外部の形こそ当時とほぼ同様に設計してはいるものの、その内部となるとまるで古いオフィスビルを思わせるような味気のない資料館がほとんどである。いわゆる“外観復元”というやつだが、しかもコンクリート造りの代物だから、少なくとも現存天守にあるような木材や漆喰の醸し出す生々しさは伝わってこない。また現存天守の内部と両方を目にした方の何人かにはギャップや違和感を感じた人も少なくないのではないか?
それが15年ほど前に静岡・掛川城を皮切りに木造で復元される天守閣が現れ始めた。宮城の白石城、福島の小峰城、愛媛の大洲城…そしてこれらに共通するのが当時とほぼ同一の寸法で復元されていることだ。つまり城郭建築は“原点に戻った”ということになろう。
ところで、今年から広島東洋カープは新装のマツダスタジアムでプレーをするようになった。この球場はプロの本拠地としてはかつての後楽園球場、東京スタジアム、神戸のスカイマークスタジアムに次ぐ内外野天然芝のボールパークとなった。また、甲子園球場もいずれは内野まで天然芝にするらしいが、そうなればこれまで以上にまばゆい高校球児の熱い夏が期待できることだろう。
それはともかく、このマツダスタジアムの誕生や改装段階の甲子園に見られる天然芝回帰現象に日本の城の復元天守閣のに見られるような変遷とどこか重なるものをみるのだ。そしてそのキーワードはもちろん“原点回帰”である。
おそらく日本の建築にコンクリートの技術がもらたらされてそれが城郭建築にも応用されたのと同様のことと思うが、70年代中盤に後楽園スタジアムに日本初の人工芝が導入されたことは本当に画期的であったという。何しろスカイマークスタジアムという例外はあったにしろ、つい最近までは楽天イーグルスのクリネックススタジアムでさえ新球団を迎えるための球場改築にあたってわざわざ土のグラウンドを人工芝に変えたほどだから、もはや日本では人工芝の球場というのが一つのステイタスのような見られ方すらされていたのだから。まぁそれもそうなって然るべきかもしれない。外野が天然芝なら内野は土だけ、というグラウンドが多い日本では“天然芝コンプレックス”に知らず知らず苛まれていたかもしれないのだから。
しかし外観のみのコンクリート造りの天守閣が史跡としては趣にかけるのと同様、人工芝での野球では野球本来の趣という部分で欠けるものがあるばかりでなく、イレギュラーバウンドなどの不可抗力からくる面白さや予期せぬハプニング、またそれによって研ぎ澄まされる計算力まで奪うという弊害もある。こうしたことが重なって、アメリカのいくつかの球団本拠地では古くからあった人工芝の球場を取り壊してまで天然芝の球場を造って“古きよき時代”の再現をあちこちで図ったほどである。日本の場合は、おそらく予算等の問題もあったのかそのあたりの対応が遅れ気味だった。だが、このマツダスタジアムのケースを契機に本格的な天然芝の見直しが始まるような気がする。
キリがよいので、これも第二部(以降?)をつくるとしよう。
(続く)