野茂と松坂…その相違点に意外な影響あり−2 | スポーツを語ろう-ZE!!

野茂と松坂…その相違点に意外な影響あり−2

前回は両者の1年目を中心に述べた。松坂の苦闘の原因の一つは球種の多さが災いしたものである。日米でボールの皮の質が違うこと、マウンドが高傾斜の上にその土も日本のそれと違うこと…野茂の一年目にはさほど話題にはなっていなかったため意外度はさらに強くなった。だが一方で野茂がそうしたハンデをものともしなかったのは球種がストレートとフォークしかなかったことが一因となっていたこともわかった。球種が少ない上にストレートとフォークに握りの違いがほとんどなかったことで野茂はこうした勝手の違いに悩まされることなく力をフルに発揮できたということだ。
では2年目はどうだったろう。野茂にとっては2年目のジンクスが懸念されるシーズン、松坂にとっては仕切り直しともいえるシーズンだ。
まず野茂の方から。果たして結果だけみると2年目のジンクスに翻弄されることなくこのシーズンも野茂のピッチングは猛威をふるった。負け数が増えてはいるが勝ち星も増えているし、前年はストライキにより試合数自体が少なかったことを考えれば大幅な変化はなかったといっていいだろう。
だがやはりそれはそれで難しい面も多少はあったようだ。というのもストレートとフォークでボールの出所の高さに違いがあることに打者が気づいたというのだ。しかし野茂もさるもの。フォークボールを2種類にして投げ分けることで対処したという。少し詳しく話すと、ストライクからボールになるフォークには手を出さなくなったのでボールゾーンに落ちるフォークで空振りを奪う一方フォークでストライクを取ることを覚えたという。つまり「出どころが高ければフォーク」という打者の意識を逆利用したのである。また、インサイドへのストレートを多用したことも打者のフォークへの意識を逆手に取ることにつながったようだ。
だがそれはクレバーな野茂だから対応できたこと。ここからは私の想像だが、ストレートとフォークだけというシンプルな投球スタイルでは研究されやすいし、何より将来的な伸びしろも少ない。実際野茂にしても好調時こそノーヒットノーランまで達成しているがその後のシーズンで1年目以上のインパクトを残したシーズンは少なくなかったか?
一方の松坂はどうか。いざ2年目が終わってみてポカが目立つのも相変わらずではあった。しかし18勝3敗という成績とともに安定感は格段にアップした。やはり松坂なりに1年目に苦しめられたハンデを研究したのだろう。
この視点で野茂と松坂を比較した場合、球種が少ないが故に日米での勝手の違いについてほとんど微修正程度ですむ野茂よりも矯正ポイントの多い松坂の方が対応には困難かつ不利なものがある。それゆえ克服できない弱点が多いほど痛い思いをする。
だが逆の見方をすれば、松坂のような球種のバリエーションが豊富なタイプはきちんと対策を立てさえすればその攻め方の豊富さがゆえにハマればハマるほど前年だったら崩れていたところで前年をはるかに超えるピッチングが可能となるから打者にとってはそれだけ厄介なものとなる。各ポイントで進歩があればあるほど球種の少ない野茂に比べて打者にも慣れにくい部分もあるのかもしれない。
さらにこれは野茂の1年目にもいえることだが、まさにイバラの道だった1年目でもローテーションを守りきって投げ抜いたことで自信をつけ、様々な発見や再確認を果たせたことも大きかったようだ。苦難に対してただ漠然と取り組むのではなく、何事も来季以降のために通らなければならない道として受け止めて耐え忍んできたこと、そうしたこと全てがこの飛躍的向上につながったのはいうまでもないだろう。
とはいえ、今季の松坂の進化はできるだけの鍛錬を十分にしてきたからこそ成し遂げられたものである。相手にとっても1年目、2年目とデータが増えて少々の前進では対応しきれるかどうかもわからない。したがって、いうまでもないこととはいえだからこそ今季こそが勝負、という気持ちで松坂は全力で取り組むべきである。そう、この3年目こそが真の勝負なのである。