あるピアニストの死・・・ | Jazz Me Blues

あるピアニストの死・・・

山梨在住のピアニスト木島睦夫さんが11月6日旅立った。
彼の名前は以前より知っていたが、一緒に演奏したことは一度もなかった。
What A Wonderful World!  ~ Dixieland On My Mind Blog-木島
ところが今年の3月のこと私の店に突然現れ
「近藤さん、私のピアノトリオをバックにダービーハットというお店でソロで演奏してくれませんか?」というお話しをいただいた。

彼はバリバリのプロミュージシャンだし、私は他に仕事を持つアマチュアプレイヤーなので恐れ多く一瞬躊躇したが、プロでありながら、アマチュアの、しかも一回りも年下の私に対して驚くほど腰が低く、またあまりに熱心に誘ってくれるのでありがたくお引き受けすることにした。
2回ほど軽いリハーサルをして、5月に無事本番を迎えることが出来た。
さすが百戦錬磨のピアニストだけあって、私の申し出た10数曲のスタンダード曲に見事な伴奏を施して下さり、実力以上の出来栄えとなったのではあるまいか。
ご来場のお客様からも概ね好評をいただけたのは、木島さんのピアノに因る所が大きい。


その彼が亡くなった。
聞くとちょうど私のところに来たちょっと前から、背中に痛みを感じるようになったらしい。
「酒の飲み過ぎ?」と思っていたが、時間がたつにつれ、激痛に変わった。
そして7月、運命の宣告を受けた。
膵臓(すいぞう)がんが肝臓や脊椎(せきつい)など5カ所に転移していて、手の施しようがなかった。
それでも音楽はもちろん、酒も、たばこも、やめようとしなかった。入院や抗がん剤の使用を避け、痛み止めを飲みながら自宅で暮らすことを選んだ。
9月にはステージをともにした音楽仲間が集まって、闘病生活を励ますライブを開いた。
私もその仲間の一人に加えていただいた。
これが彼と一緒に演奏した最後のプレイとなった。
この時は店に入りきらないほどのお客様。
拍手、喝采、声援、涙・・・・
こんなにも彼はいろんな人から愛されていたのだ。

音楽に対して、どこまでも純粋でまっすぐな姿勢。
音楽を武器にして、病魔と闘うことを選んだ彼。

自分は果たして人生の瀬戸際でこういう姿勢が貫き通せるのか・・・・
自問しながら遺影の彼に手を合わせた。