私の50年の人生の中で、今まで一度だけ「海外旅行」に出かけたことがある。


そして、それは フランス という国であり、10日ほどの旅であったが、当時はJRに務めていたので、まとまった休みをとることができた。




ところで、国鉄時代には優秀な職員を選抜して、海外視察に出す慣例が続いていて、それがそのままJR各社に引き継がれたが、JR西日本になってから初めての海外視察を、大阪、京都、滋賀、兵庫の 大阪圏から一人選抜 することになったらしい。


そこで、厳選に選考するつもりが、恐らく担当者が間違って選んだのだろうが、その一人に私が選ばれてしまった…(汗)


なので、旅費は当然タダであったが、物見遊山の観光ではなく、あくまで視察と交流が目的とされていた。





さて、訪れたのは平成の初め頃だったと記憶しているが、ちょうど エトワール凱旋門 が改修工事をしていたので、フランスに詳しい方なら、およその年代が判るかも知れない。





フランスに入った初日だけは、特例でパリ市内を観光した。


セーヌ川である。





石造りの古い建物は、どことなく冷たい感じがしたが、どこをどう観光したのかは覚えていない…


ただ、いろんな発見があって、これが各々のお国事情だということも痛感した。





特に、車は道具と位置づけられているので、我が国のようにピカピカに洗車している者は稀(まれ)であり、駐車スペースが狭いとなると、前後の車に体当たりして幅を確保するという有様であった。


なので、どの車もボコボコであつたが、 そのためにバンパーがあるのだと 教えられた。


そして、フランスには珍しい「スバル車」を発見したので、思わずシャッターをきった。(右が、レオーネツーリングワゴン)





店頭には、歩道いっぱいにテーブルが置かれ、どの店も繁盛していたが、石畳が醸し出す独特の雰囲気からだろうか、時がゆっくり流れているようであった。





そして、夜になると興味本位で パリの歓楽街 を散策してみた。


すると、日本人と知るや 田中さ~ん、山田さ~ん お○○ ち○○ と、客引きが大声で叫んでいるの様に思わず苦笑してしまったが、我が国では絶対にありえない光景であろう。





さて、いろんな観光地にほとんど興味が無かった私は、いつものように乗り物にカメラを向けた。





パリの電車は便利であったが、改札のチェックが甘く、これでは無賃乗車が横行するだろうと機具してしまう…


それと、電車に乗ると特に女性の香水の匂いが強烈であったが、それはシャワーだけで 風呂に浸かる文化 が無いのと、肉系の食事が多いので、その独特の体臭を隠すために「香水文化」が発達していると教えてくれた。





ホームステイも体験した。


ホストファミリーの庭に放してあった「にわとり」が、夜の食卓に上がった時はさすがに青ざめてしまったが、オレンジで炊き込んだ鶏肉の味は、一生忘れないほどの美味しさであった。


ただ、美味しいからと言って自らの皿にたくさん取り込んで残すと、かなり軽蔑される国である。





そう考えると、同じ農業国なのに、我が国は食べ物を 少し残すことが上品 という風潮があるけれど、こちらではスープやソースは舐めたように綺麗に残さず食べることが美徳とされていて、ほとんどの皆がそうしていた。


まあ、いずれにしても色んなことを学んだのは事実であったが、やはり海外に出かけるのは今でも好きではない… 


なので、私の最初で最後の海外旅行は フランス なのである。