加賀麩 不室屋(ふむろや) 「宝の麩」
二十代の頃、金沢出身の友人が帰省土産に不室屋の「ふやき御汁」を買ってきてくれました。
お麩をお味噌汁やお吸い物に使う習慣がなかったのですが、お麩のこんな食べ方があったのかと、当時は衝撃的でした。
「麩やきの皮に穴を開けてお湯を注ぐと、中から次から次へと具が出てくる」様子は、とても新鮮で斬新だなと感じました。
麩は小麦粉を使った加工品で、棒状に焼いた棒麩や、お吸い物用の繊細なデザイン性のものなど様々ですが、用途は決して幅広いとは言えない、脇役的存在でした。
しかし、お麩を使ってここまで人を楽しませアイディアが詰め込まれた商品は、不室屋でしか出来ないパフォーマンスだと思います。
不室屋は、創業の慶応元年から金沢で麩づくりを始め、発祥の地である金沢の不室村に因んで屋号を名づけたそうです。伝統の製法・味・技術を守りながらも、消費者の心をくすぐる麩づくりをされています。
私は、4種類の味が楽しめる、「宝づくし8個入り」を購入しました。
・おすまし(花麩・ねぎ・わかめ) 2個
・麩久梅(花麩・ゆず・ほうれん草・大根・おぼろ昆布)2個
・加賀みそ(花麩・ねぎ・おぼろ昆布)2個
・暫(花麩・ほうれん草・おぼろ昆布)2個
届いた商品は丁寧に梱包されていて、手提げ袋も入っていました。
インターネット購入時に贈答用とは伝えていませんが嬉しい心遣いです。
そして、箱もかわいいデザイン。
早速、麩久梅を作りました。
ふやき、昆布だし、味噌(味噌汁で楽しむ場合)、おぼろ昆布がついています。ふやきの中のお野菜、何と低農薬・減化学肥料の地元の野菜を使っていました。味も素材も、即席でありながら、インスタントの侘しさが全くなく、お湯を注ぐとだしのいい香りが広がり、野菜の触感も驚くほどいい。
購入の楽しみのポイントは、お湯を注ぐ前にふやきの皮の真ん中をぱりっと割るひと手間、そして、どんな具が浮き上がってくるかのわくわく感ではないでしょうか。
このひと手間がなければ、これほど不室屋の商品に魅力を感じなかったかもしれません。麩の美味しさを伝えたいというコンセプトから、栄養にも配慮し、乾燥させた野菜をふやきの中に詰め込んで、金沢の味に仕上げたこれらの商品は、不室屋の歴史や技術、こだわりがなければ真似できない差別化だと思います。
これほどの商品ですから、1個200円以上するのは仕方がないかもしれません。贈り物としても失敗しない商品だと思いますし、外国人観光客にもぜひ日本の味を持って帰っていただきたいなと思います。
しかし、日常使いとして頻繁にリピートできる商品ではないかもしれません。やはり、おもてなし用・贈答品がメインでしょうか。もしくは、離れて暮らす家族に、また、食にこだわりのある一人暮らしの方にいいかもしれません。
さらに、初めての方に向けては、お得感のある詰め合わせセットなどがあると注文しやすいと思います。
送料は300円と安く済みましたが、日持ちする商品ですので一定金額以上は送料無料にするなど、一回の買い物でたくさん買っていただける工夫が必要だと思います。
また、旅行の携帯用・山歩きなどのアウトドアの携帯用として新たに商品開発し、そういった企業とコラボするのも面白いと思います。
不室屋の商品は、お麩のイメージを変え新たな麩の食べ方を世の中に広げた素晴らしい商品だと思います。
食空間コーディネーター
占部恵子





