刑事尋問技術~3C~① からの続きです。
3 3Cをめぐる反応
上に書いたようになれば尋問者としてはスッキリした尋問となる
・・が,しかし,である。
裁判所からの受けがすこぶる悪いのである。
特に「confront」で証人に矛盾書面を示す部分。
現職の裁判官では,大島隆明裁判官が「そのような尋問方法は禁止すべきいわれは全くないと思われる」(『原田圀男判事退官記念論文集 新しい時代の刑事裁判』287,288頁)と述べているもの以外,199条の10で示すことにつき,肯定的な意見を見聞きしたことがない。
(なお,田中信一判事は判タ1332号39頁において,「裁判長において・・調書を示すことを許可するのが相当である」として,199条の11の適用の下で,「示す」尋問を許容できるとする。)
弁護士の先生方の多くは199条10の適用により,あるいは,328条から直接,裁判所の許可なく矛盾書面を示すことが可能と考えている(秋田真志執筆部分『実践!刑事証人尋問技術』91頁,高野隆執筆部分『法廷弁護技術』第2版181頁)。
わざわざ示すことまでするのは,対面することにより弾劾の効果が上がると考えられているためである。
ところが,裁判所から,以下のような反論,尋問の制限があるのである。
① 当該尋問は書面の成立の同一性確認のために該当しないから199条の10により示すことはできない,
② 「少なくとも199条の11の適用事項であるところ,199条では供述録取書を示して尋問することを禁じている」,
③ 199条の11の規定の適用事項であるところ,同条第2項の「証人の供述に不当な影響を及ぼす」から,
書面を示すことはできず,書面の朗読にとどめるべきだ,と。
これらの制限に対する法的議論,実践的反論例については,前記の季刊刑事弁護第81号をご覧になってください。
4 雑感
刑事裁判の実務修習中,模擬裁判での出来事であるが,私が習いたてホヤホヤの3Cを使って尋問をしたところ,後の講評ばかりか,飲み会が終わるまで,指導の裁判官たちから,「どうしてあんなことしたのだ」との批判的な立場からの質問を延々受けることになった。
ああ,こんな風に思われているのだ,と身をもって体感した。
このような裁判官たちがいろいろな理屈をコネながら批判的立場に立つのは,おそらく,某裁判官の以下の発言のような事態がなくならないからである。
曰く,「特に若手が研修で習ったことを鵜呑みにして,重要でない変遷についてまで,わざわざ証言者へ矛盾書面を提示することを繰り返し,異議を巡るやりとりも含めれば,法廷の大半がそれで占められることもあった」
修習生・若手弁護士は,この点にこそ,注意を払うべきかもしれない。
最後に,尋問技術として参考になる本を1冊。
『弁護のゴールデンルール』
訳はもちろん,かの高野隆先生。
こちらは実践例というより,尋問の心構えを説く本。超有名だし,バイブルという先生方も多い。
- 弁護のゴールデンルール/現代人文社
- ¥1,836
