タマピーとのバンドリハーサルは凄く厳しかった。

コーラスなんて慣れてなくて回りに合わせるのに四苦八苦。


夜通しのバンドリハーサルの後にさらに特訓なんてざらだった。

でも私は嬉しかった。一緒にいられるから。



彼女がいる人を好きになると辛い。

でも優しいタマピーに小さな可能性を感じていた。

私はタマピーの心を探った。


ある日、タマピーは車で学校へ来ていた。

メールをした。


『タマピーに会いたいよー』

かわいい一年生の戯言だ。

『おー☆今、学校。車だからドライブでもすっかー?』

早い&嬉しい返信。

待ち合わせて車に乗り込んだ。


運転席のタマピーはかなりかっこよかった。元々ジャニーズ系の顔だか、さらにかっこよく感じた。

あてもなく車は走った。一度は家の前に止まったが、私が降りなかった。

タマピーの心が知りたかった。


そのうち、自分がどうしたいのか定まらなくなる。
気持ちを伝える事が全てよいとは限らない。


悩んでいると車が再び走り出した。


山をどんどん登っていく。


「どこいくの?」

「いいとこ♪」


着いたのはフェンスの前。


「のぼれるか?」


ほえぇぇ・・・・・これを越えても草むらなんだけど・・・


「うん。大丈夫。こういうの得意www」


といってフェンスをよじ登り、草むらを書き分けると・・・


そこは小高い丘だった。


街を一望できて夕日でかわがキラキラ光っていた。


「ここはね、耳すまの丘だよ。」


耳すま・・・・・ジブリの耳をすませばのこと。


ラストシーンの丘。


初めてなのに懐かしくて不思議な気持ちになった。


自分が何のために東京に来たのか、この先どうなっていくのか・・・・実家に帰りたくなった。

あるべきところへ・・・・・・。


タマピーの肩で泣いた。

彼はいいこいいこでしくれた。


耳すまの丘には耳すまノートがあった。


「いよいよ今日だね。」

と書いてあった。


私たちの前に来た人だろうか?

今日?

よくわからなかった。


彼のバイトの時間があったので帰ることにした。


帰りの車の中で

「彼女はどういう人なの?」

と勇気を振り絞って聞いた。


「大きい人だよ。彼女しか俺には付き合えない。」


どんな言葉よりショックだったのを覚えている。

彼女しか俺には付き合えない。

でも少し悲しそうな顔をした。

助けてほしいの?????


よくわからなかった。


車をおり、家に帰ると泣いたせいか疲れて眠ってしまった。テレビをつけたまま・・・・。


「雫ー!!!」


そんな声でふわぁぁっとメが覚めるとテレビでは耳すまがやっていた。

びっくりした。


こんな奇跡あるんだ。


私はバイト中の彼にメールしてその喜びを伝えた。

幸せな奇跡だった。


素敵な恋心・・・・・・だと信じた。