「詩経」36篇・邶風「式微」



式微、式微、胡不帰? 微君之故、胡為乎中露。 式微、式微、胡不帰? 微君之躬、胡為乎泥中。



ああ、消えてゆく消えてゆく 光が…… どうしてあなたはお帰りにならないの あなたとのえにしあればこそ 露にぬれて待ってます

ああ、消えてゆく消えてゆく 光が…… どうしてあなたはお帰りにならないの あなたの御身を思えばこそ 泥にもがいて待ってます


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ああ しなければ しなければ… あなたに会ったりしなければ… どうして家にも帰れない どうして夜露に濡れながら 寒さに震えて居なければならない?







微(び)なり 微(び)なり 胡(なん)ぞ歸(かえ)らざる 君之故微(な)かりせば 胡為(なんす)れぞ中露においてせむ

会わなければよかった。 いっしょにきたりしなければ。きっと 今ごろは、暖かい布団で寝ていられたのに。ああ、どうして家に 帰れない。なんで、夜露に濡れながら、 濡れた泥の中で野宿しなければならないのだ…。帰りたい…。家が恋しい…。



式…「ああ」 「それ」など。
微…~でなかったならば。 ~しなかったならば。
胡、なんで、どうして。
乎、疑問の助辞
中露、露中。野ざらし。 泥中、どろまみれ