紀北の主婦ら商品化
地震や津波など災害時に、介護が必要な人を素早く搬送できるハンモックのような救出用具を、紀北町紀伊長島区の主婦らでつくる地域起こしグループ「手づくり工房・ワーイワイ」が商品化した。「機動性が良い」と好評で、すでに自主防災会や宿泊施設から注文が寄せられている。
商品名は「かけモック」。長さ110センチ、幅100センチの厚みのある綿布が、袋状になっている。
担架のように担ぎ手2人が必要だが、綿布に二つの穴があり、搬送者は両足を通すことで座った状態になり、安定する。たすき状の肩掛けをするため、担ぎ手の両手が離れても落ちることはない。搬送者は担ぎ手とほぼ同じ目線で前をみることができ、不安感がやわらぐといい、袋にコンパクトに収納できる。
考案したのは、グループ代表の井谷三枝子さん(62)。病院や介護施設に16年間勤めた経験があり「とっさに手軽に、しかも確実に運べるものがあれば」と思いついた。東日本大震災後、ボランティアで岩手県内を2度訪れたのをきっかけに、試行錯誤を重ねた。
試作品を自主防災会や知人に披露したところ、「実用化して」と要望する声が多く、商品化に踏み切った。有名なアウトドアメーカーからも「生地が丈夫で担ぎ手の負担を最小限に抑えている」と太鼓判を押されたという。
熊野灘に面した県南部では、津波襲来時にはほとんどの地域で山の高台が緊急避難場所になる。井谷さんは「担架に比べて、狭くて歩きにくい上り道でもより安全に移動できる。要介護者のいる家庭のほか、大勢の人を救出する消防署にも置いてほしい」と話す。
価格は1万2000円を予定している。問い合わせは井谷代表へ。
出典:朝日新聞