その性はタブー?老人の性、母の性を描いた中編小説2作。

 

「春、死なん」

(あらすじ冒頭)

 二世帯住宅に住む富雄は妻と死別して孤独な日々を過ごしている。そんな生活の中、ある日若い頃の知人女性に再開し、富雄の生活に変化が起こっていくが・・・。

 

「ははばなれ」

(あらすじ冒頭)

 コヨミは母と夫の3人で久しぶりに父の墓参りに来た。子供のいないコヨミ、帝王切開でコヨミを産んだ母。帰りに実家に立ち寄ると母の恋人だという男が実家の前に立っているのだが・・・。

 

男の慢心を捉えられ、読者の私も立ち尽くした。( 「春、死なん」)

 私は、p.62で富雄と息子の賢治と共に、嫁の里香の前に立ち尽くしていました。妻、喜美代の気持ちが分からずにいたのです。私も里香の気持ちが分からなかった。

 紗倉まなさんは、本当に男心、男の思考を深く理解していて私の心を掴んできます。このp62を読んだ時には呆然としてしまいました。私も里香に頬を叩かれました。女性はこのシーンにどんな感想を持つのか非常に興味がわきました。

 

心理描写が独特で小説の世界に引き込まれる(「春、死なん」)

 作品後半、貝をつかった心理描写が驚愕でした。独特の表現・世界観で読み進めれば進むほど小説の世界に引き込まれて行きました。映像化困難なこの表現は是非皆さんにも体験してほしい世界です。

 

母と娘の微妙な距離感(「ははばなれ」)

 母と娘であっても、性格も環境も異なり、それぞれの女性。娘は母を羨み、反対に蔑む。男の私にはない世界。微妙な距離感が丁寧に描かれていてこの世界に没入しました。

 また時間を置いて読み返すと私の感想が変わってきそうな価値の高い小説だと感じました。また何年かして自分が成長したら見方が変わりそうな文章でした。

 

オススメの方

1.アラフォー以上、上はいくつでも。

2.将来に漠然とした不安を感じている方。

3.同じ毎日を繰り返している方。

 

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