まず観る事はないだろうというのが第一印象。
それが、J-WAVEの番組で「怪物にだまされてはいけない」という推薦を聞き
へええ、と思ったところに社内で「観たい」という人がいて
さらに日経の映画評で五つ星が付いていたのに驚き
「こりゃ行くしかないっ」と足を運んだ。
まず驚いたのが主役となる家族の登場シーン。
え、え、あれってもしかしてソン・ガンホ?まさかっ?!
あまりにも今までのイメージを覆す役柄に唖然としてるうちに
いきなりヤマ場。大事な娘を目の前で怪物にさらわれてしまう。
ここの「手を引いて逃げていたのに、気がついたら違う女の子だった」というオチもそうだが
シリアスな場面でつい笑ってしまうことが多かった。
被害にあった人達の「合同葬儀会場」でも、家族4人が床を転げまわって泣くシーン。
それも直前の兄弟ケンカで、弟が兄に「飛び蹴り」(!)まで食らわせている。
連行された病院からかなり強引な方法で4人が逃げ出すシーン。
地下駐車場で迷うわ妹を車に乗せ忘れるわ、こんなんで大丈夫かと思いつつ
この程度で逃げられてしまう方もかなりマヌケが高かった。
途中で居眠りしている弟と妹に、兄の不憫さを切々と訴える父。
ここもかなり笑えるところだったのだが、その直後のグエムルとの戦いで父が倒れてしまう。
これは辛かった。。原因が兄の無能さゆえなのでさらにツライ。
バラバラになった一家が、それぞれ苦労しつつ娘(姪)を助けるために奮闘。
大卒なのにフリーターで酒飲みで、火炎瓶製作にめちゃめちゃ慣れてる(笑)弟。
罠にはめられたオフィスから、機転をきかせて逃げ出したり
焼酎の瓶で頭殴られつつ(笑)最後に重要なキーマンとなるホームレスを味方につけたり
なかなかカッコいい働きをしてくれる。
アーチェリーの銅メダリストでもあるが、いざという時にツメが甘い妹。
向かってくるグエムルに的を絞るが遅すぎて弾き飛ばされてしまう。。
でも、ひとりで夜明けの川や鉄橋の上を走るところがカッコよかった。
最後の最後で、弟(妹にとっては小さい兄ちゃん)のミスを見事にフォローしたし。
閉じ込められた排水溝で、泥だらけになりながら必死に逃げる方法を考える娘の
戦いぶりもすごかった。
唯一生きて投げ込まれた男の子を守りながら、時にはユーモアを交えて生きようとする。
生身の人間ではなく、骨ばかりが投げ込まれた時の絶望感
グエムルの背を踏み台に跳ぼうとするときの緊張感と決意
そしてその後の展開には、本当に息を止めて凝視してしまった。
たかが13歳の女の子なのに。。よく戦ったと思う。
そして兄。
怪物のウィルスに感染したとされ、幽閉されていた医療車からやっとのことで逃走。
なんの武器も持たず、ただひたすら娘を助けに向かう。
米軍によるガス攻撃に苦しむグエムルに、なんのためらいもなく近づき口をこじあけて
娘を引っ張り出す。
ここで正直終わりかと思った。しかし弟、妹+ホームレスの攻撃に加えて
グエムルにとどめを刺したのは兄なのだ。
最初にグエムルと戦った時と同じモノ(決して武器ではない)を使って。
冷静に考えれば「そりゃないだろ」という展開。
しかし泣けた。
2人の仇をとったという事実に泣けた。
秘密兵器もなくスーパーヒーローもいない、普通の家族の壮絶な戦いであった。
そんなわけで、すっかりのめりこんで鑑賞。
力いっぱい観てたので、終わった時にぐったり疲れた(笑)
いやーこんなにスゴイとは思わなかった。面白かった。
酷評もあるらしいが、自分は十分満足。怪物モノは見ないがこーいう作品は好きだ。
ところどころに顔を出す、政府や米軍や世界情勢に対する強烈な皮肉
おそらく韓国の現状を表しているのだろうという設定
苦笑したりため息ついたりしつつ、でも作品としてもきちんと楽しめた。
しっかし「医療車のドア蹴り開けたら、呑気にバーベキューしてる光景」
あれは痛烈だったなあ。。いかにも「米軍らしいイメージ」の展開。
緊張感あふれる場面なのに笑ってしまった。
もう1人(?)の主役、グエムル。
長い尻尾と前足を器用に使って橋脚の下を移動してくるあたり
動きが速くてめちゃめちゃ怖かった!
あっという間に近づいてくるから、もうひえええ~とう印象。
いわゆる「胴体ぶっちぎれたり」「一面の流血」というグロさはなかったが
見慣れていないせいか、やっぱり気持ちのいいものではなかったし
いきなり登場して何度もびくっとしてしまった。
「かわいい」とか「愛嬌ある」とかいう意見もあるようだが、自分はその手の感情移入は出来そうにない。
ただ、「薬物の大量放棄により生まれて、死んでいく憐れさ」という表現には共感できる。
。。。でもやっぱ、怖いよな。。
最初は唖然としたソン・ガンホの役柄だったが
あのラストシーンは「兄」の人柄ゆえのものだろう。
日常の食事風景、一連の顛末を伝えるニュースも食事に集中しようという言葉も
静かに包み込むような雪景色がココロに残った。
よく出来てる作品だと思う。
ある意味映画の醍醐味が凝縮されているような。
エンターテイメントと言ったら誤解されるかもしれないが、存分に楽しめたから
自分にとっては間違いない。
久しぶりに観た韓国映画だったけど、面白かった。うむ。