われわれが理解しないことは制御しがたい。
「われわれが理解しないことは制御しがたい。」
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの言葉だ。
まるで今回の福島原発の事を指して言っているようにも聞こえる。
これは僕の勝手な解釈だが、興味深い点がある。
ゲーテは「われわれが理解できないこと」とは言わず「われわれが理解しない」としている点である。
人類は、原発そのものを理解できていない。
それは、理解しようとしなかった結果なのかも知れないという事である。
なぜ理解しようとしなかったのか?
それは、不都合な事実がそこにあるからである。
しかし不都合な事実は明かされさえすれば乗り越える事が可能であるにも関わらず、
その時の不都合を理由に、明かそうとしなかった。
これが「理解しない」という言葉にあてはまる。
これは非常に簡単な話で
子供が実は掛け算が少し理解できていないのに、それをいうと点数が下がってしまうと思い隠すのと似ている。
そして今回の原発は割り算にぶち当たってしまったという事だ。
今回の地震と津波は天災である。しかし福島原発問題は人災であると言える。
…
宮崎駿は、この度の東日本大震災を受けて
「いまだ埋葬できずにいる多くの人を抱え、国土の一部を失いつつあるこの国で、
アニメを作っている自覚をもって仕事を続けている。
文明の模索と向き合う時期を迎えたが、今は軽々しく文明論を語る時期ではない」と語った。
風の谷のナウシカ…天空の城ラピュタ…もののけ姫…
人間の欲が欲を生み増幅し環境を破壊し…祟りを受ける…
そのようなテーマの作品をいままで作ってきた宮崎駿氏だからこそ今言いたいことは沢山あるのだろう。
しかし…今は軽々しく文明論を語る時期ではない…のである。
※一見、石原都知事の天罰発言と似てるような錯覚に陥るが言っている事は全く異なる。
もう一度ゲーテの言葉を繰り返してみる。
「われわれが理解しないことは制御しがたい。」
そして思う。
われわれが制御しなければならないのは、われわれであり、
すなわち、われわれが理解しなければならないのは、われわれなのである。