DJとしてのこだわり その3 ―レコードのデータ化― | DJ SWING OFFICIAL BLOG by Ameba

DJとしてのこだわり その3 ―レコードのデータ化―

ここ2日くらいで一気に冬モードに突入しましたね。

その前は「これが12月か!?」っていうくらい暖かかったのでなおさら寒さを感じます。


さて今日は以前から好評をいただいているブログテーマ『DJとしてのこだわり』の第三弾をお送りしたいと思います。

もともとアメブロにあるリクエスチョンを使ってレコードの音源の取り込み方について質問をされたDJの方がいらしゃって、その受け答えの内容をブログにアップできれば同じような疑問を抱いてる方のお役に少しでも立てるかと思い、その質問された方にアップしても良いか聞くと快諾してくださったので今回記事にさせていただく運びとなりました。



では早速いきたいと思います。


クエスチョン(以下Q):
いつもDJ SWINGさんのブログ楽しくチェックしています。
SCRATCH LIVEで使用する為にレコードのデータ化を行っています。
M BOX2 MINI経由でPro Tools LE7.4.2で録音し24bit 48KHzのAIFFファイルで保存しています。
バウンス前にPlug-inのMaximを使用して音量レベルの調整を行っていますが、一曲ごとのレベルのバラツキが気になります。
ミキサーやPro Toolsの画面上でレベルの確認をしながら気を付けてはいるのですが。
レコーディングやPro Tools,Plug-inの知識も乏しく苦労しています。Pro Toolsを使用していい音質でレベルのバラツキも少なくレコーディングしてレコードをデータ化できる方法があればアドバイスお願いします。
ご多忙の中申し訳ありません。宜しくお願い致します。



アンサー(以下A):
リクエスチョンしていただき、ありがとうございます。
お問い合わせの件ですが、まず大事なのはレコーディングする際に使用するカートリッジです。
自分は必ずORTOFON CONCORDE GOLDを使用しており、このような質問をされたときにオススメもしています。 GOLDはダイナミックレンジが広く、高解像度な音質が特徴で、これで聴くと他のカートリッジで聴けなくなるくらい差があります。

次に大事なのは録音する際の録音レベルです。
録音する際にクリップしない程度に出来るだけ大きなレベルで録らないといくらバウンス時にレベルを上げようと良い音にはなりません。
したがってバウンスする際にMAXIMで揃えるのはあまりオススメしません。
音源にもよりますがほとんどの正規レコード盤の場合既にマスタリングされており何度もそのような類いのマキシマイザーやリミッターを通っていると考えられますので必要以上にマキシマイズすることは無駄に音をラウドにしすぎるだけなので避けた方が良いと思います。
聴覚上のレベル差はSCRATCH LIVEのAUTO GAINと実際PLAYする際にミキサーのトリムを使って調整するべきだと思います。

最近は一時の音圧競争的なものは落ち着いてきており、エンジニアによって音圧のバラツキがあるのは仕方ないことだとは思います。 曲はそのまま取り込んでPLAYする際に調節するのが実際のレコードのPLAYと同じで良いと思います。

もし取り込む音源全てを聴覚上一緒の音圧感・音質にしたいのであればスタジオ用のアナログコンプや真空管EQ等の高級アナログアウトボードとマスタリング用プラグインとそれらを使いこなす高度なテクニックと耳が必要となります。

以上取り急ぎ僕が出来るアドバイスになります。

また何か質問・相談等ありましたら気軽に聞いてください。



Q:
さっそく回答していただき、ありがとうございます。
いま使用しているカートリッジはORTOFON CONCORDE SCRATCHなのですが、GOLDってそんなに音いいんですね。 さっそく試してみます。 マキシマイズについても、すごく参考になりました。
あとひとつ疑問があるのですが、レコーディングする際ミキサーのイコライザーは全てフラットの状態でレコーディングを行うのがいいのでしょうか?
全てのレコードをフラットな状態で録音・取り込みをして、PLAYの際に調整という感じが音質的にベストなのでしょうか?
現在はVestaxを使用しているのですが、RANE TTM-56を購入しようかと考えています。

大切なレコードのデータ化なので悩みがつきません。

またまた質問してしまい、申し訳ありません。
よろしければ、またアドバイスお願い致します。



A:
僕はフラットをおすすめします。
なぜならイコライジングにもそのレコードを制作した人間やエンジニアの意図が含まれていると考えるからです。

たとえレコーディング時に家のスピーカーやヘッドフォンで判断していい鳴りだと思っても実際クラブのスピーカーで聴いてみると良くない場合が多々あるのでやはり現場で実際のPLAY時にリアルタイムで揃えるのが良いと思います。



Q:ありがとうございます。 たくさんの貴重なアドバイスをいただき、すごく参考になりました。 お忙しい中、本当に丁寧に回答して頂きありがとうございました。 これからも、MIX CDやREMIX EP楽しみにしています。



とこんな感じでやり取りをしました。

僕自身SCRATCH LIVEを使い始めた当初はどうするのがいいのか悩みに悩んで色々試行錯誤していくうちに今のやり方に落ち着いた感じです。

僕の取り込み方については、こちらに詳しく書いてます。

ただ、この方法は、音質、コスト、時間といった様々なファクターを総合的かつ合理的に判断して行きついた到着地点なので、音質だけを究極に追及して取り込みたいのであればもっとできる方法は色々あるのも事実です。

それを知りたい方はまた別でリクエスチョン願います。笑

ただ、その方法を実行するには場合によってはめちゃくちゃコストと時間が必要となりますが。


いずれにせよ、今回リクエスチョンして頂いた方みたいにちゃんとレコード音源を買い、そこから出来る限り最善を尽くそうとしてPCに取り込まれているのには同じDJとして深く共感致します。

カッコいい音楽は良い音質で聴きたいし、聴いてもらいたい。

そのスタンスはこれからも不変でありたいと思いますしDJとして普遍ですね!