♪SOUのブログ
成瀬巳喜男監督の「浮雲」という映画を見た。高峰秀子、森雅之主演の1956年の作品だ。もちろん日本映画屈指の名作と言われているこの作品の存在を知らないはずはない。しかし、林芙美子原作の文芸作品で年増の男と女の恋愛ものなんて…退屈やろなぁなんて勝手に思ってたため、いまだに未見であった。ところが先日、ルームメイトのアメリカ人のイーサンが知り合いの日本人の映画好きおじいちゃんに勧められたと言ってこの「浮雲」と鈴木清順の「けんかえれじい」のDVDを借りてきたので、一緒に観る事になったのだ。アメリカ人の青年にこの二本をいきなり勧めるおじいちゃんもどうかと思うのだが…。これが見始めたら最高に面白い!ともかくシンプルで無駄のない脚本でどんどんドラマに引き込まれる。男と女の醜くさ、弱さを容赦なく突きつけてくるその人間洞察の深さ。暴力もセックスも直接描写しなくても十分にエキサイティングだ。そして様々なロケーション撮影の素晴らしさ。ラスト前の雨の中、小さな船に二人寄り添って乗り、屋久島へ向かうシーンと死んだ高峰秀子に森雅之が口紅を塗るラストシーンのあまりの美しさには鳥肌がたった。 傑作です。