1988年8月8日(横浜文化体育館)

アントニオ猪木x藤波辰爾

フルタイムドローの試合


藤波さん側レポートに

抜擢された私は

猪木さんに

横浜文体控室で

ご挨拶させていただいたのが

最後となった


それまで

新日本プロレス

控室レポート

裏実況で


ビンタを張られたり

パイプ椅子を投げつけられたり


駆け出しアナウンサー如きに

新日本プロレスの洗礼を

浴びせていただいたのを

まだ 今も

鮮明に覚えている!




あの8月8日


世紀の一戦


飛龍革命と銘打たれた

TV中継

擬似生で進行していた

メインイベント直前の

藤波辰爾さん控室に

私はレポーターとして

インタビューする役であったが


あろうことか


進行ディレクターから

届く指示をもらう

イヤモニ(中継車から来る

指示を聴くモニター)の

アクシデントで

控室に入れ!の指示が

届かず


藤波辰爾さん控室前に

立ちすくみ

私は

スタンバイしたまま

中継は終わるという失態


控室の中にいる

藤波辰爾さんがウォームアップしている

映像がTVに映し出され

終了した!


新日本プロレスにおける

大事な

一戦で

取り返しがつかない事を

やってしまったのだ


60分フルタイムの

試合が終わり

横浜文体の灯(ひ)が落ちた後

猪木さんのもとに謝罪に...


伊)『申し訳ありませんでした!

   試合前レポートで私のミスで

   レポート出来ませんでした』


猪木)『うん?』『あっそうか』

   『俺は伊津野くんの判断で

    藤波の控室に入らなかったのか?

    と思ってたよ!』

    『あのカラ絵(藤波1人

     の映像』は緊迫感がより

     伝わったよ』 

   『結果 あれでよかったんじゃないか』


担当プロデューサーから

事前に状況説明と

謝罪を受けていたはずの

猪木さんが

私に返してくれたあの言葉!


アントニオ猪木の強さと優しさ

全てを受け入れて

例えそれが失敗/失策であっても

結果はそれが必然で自然な流れであり

そこに逆らわない

むしろポジティブな力点として

捉える

まさにイノキイズムを感じた瞬間だった


あの

横浜文化体育館控室から

34年


アントニオ猪木は

天に召された!


『闘う前から負ける事など考えるかぁ!!』


猪木氏が遺した

私が1番好きな言葉


古舘伊知郎氏が

実況の中で

『落日の闘魂は見たくない!』と

連呼した

猪木x藤波戦を観ることは

もうできない!


しかし


猪木氏が遺した

『闘う前に負ける事を考えるかぁ!』


少なくとも

私は

この言葉を糧に

残りのフルタイムを

生きねば!と想った


猪木さん

『落日の闘魂』

見届けさせていただきました!

素晴らしい生き様に敬服いたします。


ありがとうございました


合掌



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