輸出に挑む(12)国境なき時代の中で2007年2月7日 (水曜日)
輸出に挑む(12)
国境なき時代の中で2007年2月7日 (水曜日)
クロキ/3年後2万反の輸出めざす
相次いだアパレルのジーンズ分野参入やプレミアム、インポートジーンズブランドの日本上陸などによって国内のジーンズ市場は急成長した。しかしその後、ブランドの数は増え続け、オーバーストア。ブームの沈静化とともに「たんすにないジーンズ」が求められ始めた。飽和状態となった既存のジーンズ売り場での消費は停滞し、そのあおりはデニム産地へ。デニム織布業は国内から海外へと目を向けた。3年ほど前からこの傾向は加速する。
ブランドが淘汰されたとはいえ、プレミアム系ジーンズの人気は米国から欧州へと舞台を移し、盛り上がりを見せていた。世界のスーパーブランドがファッションジーンズを手掛け、資材とした小物・雑貨やバッグなどへ良質なデニムを使い始めたのである。
クロキは国内展ではジャパン・クリエーション(JC)出展により、ナショナルブランドから個性派のジーンズアパレルまで幅広く高級差別化デニムを提供、全国的に知られていた。
豊富なデニムサプライヤーが集まる産地を背景に染色から織布、加工の一貫生産体制を整えることで、ニーズに対して素早く、的確に応えられるのがクロキの強みだ。JCへはそんな強みのなかで開発された、こだわった糸使いの染色、仕上げ加工を施した生地を中心に出品した。
黒木立志社長はJC出展を繰り返すうちに「海外の生地に負けない商材を取りそろえ、日本の伝統的な染色による織物を世界に提供したい」との思いが強まる。海外対応は三備に拠点を構えるテキスタイルメーカー3社で取り組んだ米国・ロスでの共同展がすべてだった。欧州向け輸出はわずかな量だった。冷え込む国内市場のなか、「手探りの状態」(黒木社長)で欧州輸出強化策が練られた。その突破口となったのがフランス・パリでのプルミエール・ヴィジョン(PV)だった。
3回目の今回、出品するのはオーガニックデニムをはじめ、経済産業大臣指定伝統工芸で徳島県無形文化財指定の伝統技術である「阿波正藍染」を継承した「和魂藍」や草木染めの染料では柿渋など天然植物、鉱物、動物染料を100%天然で統一した商品群。
また、国内合繊メーカーとの共同開発デニム「GB」(GodofBlue)や綿花と紡績工程、整理加工によって高級感ある光沢を持つ「バージラデニム」など、簡単に真似のできないデニムばかりである。
クロキのデニム輸出は、PV以前は米欧を中心に売上高の約30%あった。PV出展により欧州向けは着実に増え、黒木社長によると、3年後をめどに年間2万反、売上高10億円規模の欧州向け輸出を目指す。
国内ではJCへは出展するも、東京・原宿オフィスでの個展はやめた。「“クロキ”ブランドによるデニムの知名度が国内外で浸透し、顧客も定着してきた」からだ。海外は衣料品にとどまらず、バッグなど資材向けデニムの販売にも今後、力を入れる。当面は繊維、ファッションの国、イタリアに目を向ける。
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