戦後日本を清算せよ | 佐原敏剛文学塾

佐原敏剛文学塾

日本文学、海外文学を多角的に分析、批評する。名作といえど問題点は容赦なく批判する。

日本人の主体性のなさ、独立性のなさはどこにその根があるのか。未だにその克服は果たされてはいないだろう。我々の世代が幼かった頃、アメリカやイギリスの大人に比較して日本人の大人が堂々と振る舞わず、絶えず卑屈な態度をとっていたことは誰しも見るところは同じであろう。私はその日本人的馴れ合いが嫌でハードボイルドを読み、書いていた。我々の世代には校内暴力の中で陰湿ないじめが深刻となった。旧世代に比較してむしろ幼児化していた。現代文学の幼稚さもそれを思えば当たり前である。ただでさえ幼児であった日本人が更に幼児化する。一体、どこに問題があったのか。任意の現代文学を取り上げてその文体と感受性とを吟味してみたまえ。味もそっけもない作文ばかりである。コクがない。ストーリーにも奥行きがない。構成がない。人物が描けていない。小説だけでなくテレビドラマも映画も同じだ。高度経済成長は日本人の精神的成長を止めてしまった。誰しも今はいい時代だと言う。生活水準は上がったが肝心のモラルは低下した。戦前のモラルに一旦回帰するしか道はない。