たった一人の戦い | 佐原敏剛文学塾

佐原敏剛文学塾

日本文学、海外文学を多角的に分析、批評する。名作といえど問題点は容赦なく批判する。

私の病名は強迫神経症である。十五歳の時から徐々に深刻さを増していき、十九歳の春、初めて入院した。以後十五年の間、私は深刻極まりない神経症の症状と戦い続ける事になる。症状がエスカレートし、その苦しみが頂点に達するのが、多い場合だと週に二、三回あった。碌に働けない程疲労が激しかった。その症状が極限までくると、その症状が続く数時間の間、誰の助けも得られない。ただただ孤独な地獄が始まるのだった。そうして二十代を丸ごと棒に振り、収入は殆ど無く、恋人らしき女性と付き合った事も一度あるきりだ。こんな状態で生きて来て四十三歳になった今、私は余りの虚しさにただ呆然と立ち尽くすしかない。世間はあまりに自堕落であり、公的機関は仕事らしい仕事をしない。保健センターなど、一体何の為に存在しているのかがわからない。私は今、週に一回の割でNHKと朝日新聞の広報担当に電話で意見している。私は怒らない性質である。だがあまりに我慢を続けては自分が潰れてしまう。ジャーナリスト諸君、問題意識をもっと強く持ちたまえ。人間存在を救い出し、平和に貢献するのが諸君に与えられた責務である筈だ。言葉の復権は諸君の双
肩にかかっている。