詩人さん、あなたは自由なのです。病魔からも陰謀からも自由になったのです。ですがあなたはその自覚がない。自由に気づくことがこれほど難しいとは、私も驚きです。ですから明日は自由を見つける旅に、つまりすでにあなたは自由なのですから、自由を喜べる自分を解放する旅にでましょう。ですがどこか遠くの場所に行く必要はありません。いつかあなたが麻里さんに言ったように、あなたが今いる場所で自由は見つかります。永遠に懐かしいこの場所で素晴らしい何かが行われる。あなたの部屋、希望の書庫には何でもあります。
八月の夕暮れに、僕はふと空を見上げる そして君のことを想う 君は今どこにいる 懐かしい日々 君は僕にフランス語を勧めた そして僕はパリにいる 空の青は日本と同じ新鮮な深みを湛えている この空は君のところに通じている パリと東京、それぞれに時を刻む それぞれ違う目的に向かって