2回キレそうになった日
ちょっと前に、翌日予定がないのが判明したため、夜行バスに乗って一日登山に行ってきた。
北アルプスですよ。
久しぶりに山登りて~って思ったんです。
ほら、私って学生時代山岳部に入ってたでしょ。
あ。
知らないですか。
そうですか。
で、北アルプスはホント久しぶり。3000m級の山々が連なっている。
穂高岳とか槍ヶ岳とか乗鞍とか白馬とか、行きやすいところで言うと、上高地。
最近行った山なんて、スプラッシュマウンテンくらいだから体力が持つか心配だった。
2000mを越えたあたりでは高山植物が力強く、美しく咲いていた。
登山の何がいいかって?
登っていると、自分と向き合う、向き合わなければいけない瞬間が自ずとくる。
日々の生活では蔑ろにしている大切な何かと向き合えるんです。
だから私は山に登るんです。
そんな調子でサクサク登り、3000mの頂上に。
雲が下にある。
いい景色だ。
いつもはこういう旅にきてブログ用に写真を撮っても、自分は写さないようにしている。
でも今回はここまで登ったんだから記念に・・・・と思い、近くにいた老夫婦にシャッターを押してもらうよう頼んだ。
『はい。押しましたよ~。いい写真撮れましたよ~』
『本当ですか~!ありがとうございます~!』
『1人で登ってきたの~?若いと1人でも大丈夫よね~いいわね~』
『ははは』
などとよくある会話をし、老夫婦は下山していった。
ふと写真に目を移すと、
え?
どこがいい写真?
あたしが足場を気にして、ふと下を向いた一瞬を激写している。
この後の「はい、ポーズ」って言ってくれて、私が満面の笑みをたたえていた時間はなんだったんだろう。
一瞬「んだよ!」って思ったが、まぁこれもブログ用にはいい写真だなと思い保存した。
登山の何がいいかって?
山を登ってると穏やかな心になる。
私をイラつかせる日常で起こる些細なことも、ここでは山が放つ威厳に全て打ち消されるよね。
だから私は山に登るんです。
その後数時間かけて下山をし、麓の日帰り温泉で疲れを癒すことにした。
下山客が多い時間帯のせいか、女風呂の洗い場が満員御礼だった。
奥に1つだけシャワーが空いていた。
でもよく見てみると、桶にボディタオルが置いてあった。
「場所取り」をしているのだろうと容易に推測できた。
でもさ、こんな混んでる中、場所取りってのは非常識極まりない。公共の場ですから。
他にも待ってる人いるんですから。
というわけで、私は気にせず使うことに。
本人が来たら、「場所を取ってるほうがオカシイ」という気でいた。
シャワーを使っていると、老婆が近づいてきて私にこう言った。
『あの~そこ取ってるんですけど。どいてもらえます~?』
きた。
「空いたとこ使え」と言い放つ勢いで振り向いた。
にも関らず、私は思わず『あっ』と言ってしまった。
なぜなら先ほど頂上で写真を撮ってくれた老夫婦の奥さんの方だったからだ。
老婆
『あら、先ほどの~。もう下山したのね~』
私
『はい。先ほどはありがとうございました。』
・・・・完全にタイミングを失った。
私
『あ、ここ使ってたんですね。気づきませんでした~どうぞどうぞ』
・・・何言ってんだ自分。自分を軽蔑した。
結果、私は譲り、老婆はニコニコ顔で座った。
しかし負けてはいけないと思い、そのエベレストのような貫禄のある後ろ姿に向かってこう言い放った。
『写真の撮り方と風呂の入り方、一から出直して来い』と。
言ってやりましたよ。
心の中で・・・。
登山の何がいいかって?
やっぱり、山を1つ登ることに自分の弱いところが明確になるよね。
それで次の山の時はもっと強い精神力で挑もうって思うよね。
それと、山を制覇した後の温泉は格段に気持ちいいよね~。
だから私は山に登るんです。
どうやら今の私では・・・
今回の最後の山は乗り越えられなかったようだ。