【圧縮音源のお話】mp3とかAACとか | DJ 大自然 オフィシャルブログ「大自然の大辞典」

【圧縮音源のお話】mp3とかAACとか

前々から時間ができたらやろうと思っていた圧縮音源の比較

去年のうちに検証はしていたんだけど、書く時間がとれなかったので年を超してしまいましたあせる

意外な結果もあったので、備忘録もかねて書いておこうとかな、と。

音が良いとか悪いとかは個人の主観でだいぶ変わってくるので、ここでは単に音源を圧縮するときにどれくらい間引かれているか(音が変化しているか)を焦点にしたいと思います。


圧縮率で言うと

Wav 1440kbpsから
320kbpsだと圧縮率22% つまり78%間引く
128kbpsだと圧縮率8.89% つまり91.11%間引く

はい、

こんなに間引いてますw

9割も間引いてるのにちゃんと(かどうかも個人によりますが)音楽として聴けるんだから圧縮技術すごいっすね!

ちなみにiTunesの初期設定は
AAC(Advanced Audio Coding)フォーマットの128kbps です。


検証方法
CDからリッピングした非圧縮音源(Wavファイル)と様々な圧縮方法でmp3 or AAC化した音源を位相反転させたものを同時再生し新たにオーディオ化したものをアナライザーで判定

音は「波」なので完全に波長の同じ波が重なれば2倍になるし、逆相(波の向きが逆)の波を重ねると打ち消しあって無音になる。

この原理を使って、「ヴォーカル入り曲」+「位相を反転させたインスト曲」を同時再生させると「ヴォーカルだけ」抜き取ることも可能です(完全デジタルミックスの場合のみ、ただし定位を変える空間系のエフェクトの場合うまく抜けないこともあります)。この曲アカペラないのにどうやってリミックス作ったんだろう?てのは大体この方向でやってるはずです。

詳しくはこのへんの記事を参考にしてください。

使用エンコーダー
Pro Tools 10.3.9
iTunes 11.4
iTunes-Lame 2.0.9
Audio Gate 3.0.1


さて、それでは検証結果を!
見づらくてすいません。クリックで拡大します。

※アナライザーは設定次第で見え方や数値(db)がいくらでも変わってしまいますが、相対的に比較する際の目安として使っております


CD-AAC 320kbps(iTunesエンコード)
圧縮って超高音域部分を間引いてるイメージがあったけど低音もそれなりに間引いてるんですね

CD-AAC 320kbps(iTunesエンコード VBR)

VBR=可変ビットレート
60Hzあたりまでの変化量の違いがありますね

CD-AAC 320kbps(Audio Gateエンコード)

47Hz以下の変化が一番少ないですが、そこからぐいっと上がってますね
とは言え、47Hz以上はほぼ他のAACと同等なので全体的に優秀な印象

CD-mp3 320kbps(iTunesエンコード)

どの帯域も平均して削られてますが18KHz以上から急激に下がってますね
-65dbを超えてくる帯域はほぼないですね

CD-mp3 320kbps(iTunes-Lameエンコード)

AACに比べると低域~5KHzまで変化量が多いですね。16KHz周辺は変化量が少なく、18KHzから上も変化量が多いです。

CD-mp3 320kbps(Pro Toolsエンコード)

上のiTunes-Lameと似たような感じですが、中域に多少の違いと16KHz周辺はガクンとさがってるのでこの辺はあまり間引いてないということでしょうか。その上の18KHzからは急激に上がってます。

CD-AAC 128kbps(iTunesエンコード)

60Hz~350Hzあたりの膨らみはなくなってるけど、全体的な変化量が増えてますね。
2KHzは-45dbあたりまできてますね。
音としても完全に曲として識別できるくらいです。

CD-mp3 128kbps(iTunesエンコード)

AAC 128kbpsに比べてさらに変化が酷く、中域の変化量がものすごいです 汗
上記で説明したように、圧縮率8.89%ということで91.11%も間引いてるわけですね。


ちなみに上記のデータを順番通りに波形を上からならべてみたもの
波形が見易いように拡大してますが変化量の比較としては分かり易いかと。


以上のことを総合してみると

・いままでレコードをデータ化する際に使っていたPro Toolsでのmp3エンコードはそんなに良くない…汗

かなり昔にiTunesエンコードと比較した時は確実にPro Toolsのほうが良かったんですが。
AVID的にはこの辺のプログラムは改良してなさそうな予感がしますね。
機会があればPT7とPT11あたりで比較したいです。

・CDリッピング時に使っていた評判の良いiTunes-Lame。エンコードのコマンドも最強(--preset insane)にして320kbps mp3にしてたけど、iTunesエンコーダーで320kbps mp3にしたほうが結果が良い…汗

※ただiTunesはヴァージョンアップで音が大幅に変わることがあったのでヴァージョンよっては定かではありません

・上限周波数の関係で180kbpsくらいより高いならmp3のほうがいい、と一般的に言われてるようだけど、今回の検証の限りだとバランスとしてはAACのほうが良い気がしてます。


●結論●

・今回の選択肢の中ではAudio Gateが一番良いと思いました。

・Seratoなどではもう問題なくAACが読み込めるので、今まで盲目的に使ってたiTunes-LameとPro Toolsでのエンコードは控え、Audio Gate or iTunesのAAC 320kbpsでエンコードしてみることにします。mp3でエンコードしなければならないときは現状iTunesでのエンコードが一番良さそう(というかなり意外な結果)。
※Audio Gateではmp3変換できません

ただiTunesに関しては今後のヴァージョンアップでどうなるか分からない…
試しに持ち出し用のMacBook ProのiTunes 11.2でエンコードしたら11.4の結果とも違ったし…(マシンの違いは関係あるのでしょうか?そんなことがあっちゃ困るんだけど)

あとは優秀なmp3エンコーダーを探すとかの手段もあるんだろうけど、それならAACで良い気もするし、もっと言うならWavのまんまでいいんじゃないかと。
とは言え、タグの書き込みやジャケ画像の埋め込み、データサイズなどを考えると……悩みはつきませんw



というわけで、分かる人には非常に興味深いけど、分からない人にはどうでも良い記事でした。