金曜夜は仕事で遅くなったが、すっきり休めているこの連休。正月よりインプットが多くてネタが溜まってきたけど(笑)、まずは先週に続いて1人で映画館に行ってきたゴキゲンなこの映画のご紹介だ!
新感染半島 ファイナル・ステージ (2020年)
PENINSULA
監督・脚本 : ヨン・サンホ 製作 : イ・ドンハ 製作総指揮 : キム・ウテク 脚本 : パク・ジュソク 撮影 : チョン・ギウォン、イ・ヒョンドク 美術 : イ・モグウォン 編集 : ヤン・ジンモ 音楽 : モグ
出演 : カン・ドンウォン、イ・ジョンヒョン、イ・レ、クォン・ヘヒョ、キム・ミンジェ、ク・ギョファン、キム・ドユン、イ・イェウォン
んもー面白かった!!正直言って先週観た「ワンダーウーマン1984」の10倍位は楽しんでしまったことは正直に白状しよう(笑)。
だって、危険エリアに潜入するミッションと言えばの「ニューヨーク1997」や「マッドマックス/怒りのデスロード」の市街地版のような怒涛のカーチェイス、「AKIRA」の都市廃墟っぽさなど、俺の大好物のストーリー、アクション、ビジュアルに加えて、ゾンビもののスリリングさ&哀しみエッセンスもたっぷりなんだもの。すぐにもお代わりしたいくらいだったぜ(笑)。
「ワンダーウーマン」同様、レビューできていなかった前作の「新感染 ファイナルエクスプレス」だが、あれから4年。あの映画で描かれた謎のゾンビウイルスパンデミックが韓国の国家機能を僅か一日で停止させ、半島(原題)が崩壊したことをアメリカ?のTVニュース番組の形でサクっと説明する冒頭から快調。
これがあるから仮に前作を見逃している方でも全然問題なく観れてしまうと思う。
思えばあの時は今のコロナ禍なんて想像もしていなかったけど、ゾンビ化こそ無いものの「パンデミック」の脅威ってのが実感される世の中になるとはねえ。
半島脱出の際に姉と甥を守れなかった元軍人のジョンソクと、妻と息子を亡くした義兄のチョルミン。
漸く脱出できたのに、避難船内でこの「肉親を亡くす哀しみ」を見せるのも非常に好みなのだなあ。
そんな2人は亡命先の香港で、差別を受けながらトラウマと絶望感に支配され惨めに暮らしている。
ある日、2人は裏社会の人間から仕事の依頼を受ける。仕事の内容はなんと封鎖されている半島に再び渡り、2000万ドルの大金を積んだトラックを見つけ出し、回収してくるというもの。分け前は半分。4人のチームだから一人当たり250万ドルだ。地獄のような半島に戻ることを渋るジョンソクだったが、悲惨な暮らしから抜け出したいチョルミンが参加するのを心配し依頼を引き受けることにする。
ジョンソクのカン・ドンウォンは軍人の時はダンカン似なのに(笑)、やさぐれ長髪になったらやたらかっこ良くなる。香港シーンでの服装はフレディみたいで微妙だったけど(笑)
ちなみに義兄チョルミンのキム・ドユンは星野源を劣化させたようなルックスなのだが、どっかでみた顔だと思ってたら「哭声コクソン」のあの若手司祭だったか!
そんな2人に元タクシードライバーのオバさんともう1人の若者の4人で半島への上陸を果たす。トラックを回収してインチョンの港に戻る猶予は3日。衛星携帯で伝えれば迎えの船が来る段取りだ。
本作のゾンビは前作同様暗闇では目が見えず夜間は活動が鈍い。しかし音には敏感だ。そこを利用して夜間に上陸した回収ミッションは楽に済むかと思っていたが、まずチョルミンがクラクションを鳴らしてしまい、凶暴化した感染者に気づかれる。
何とか凌いで逃げようとすると照明弾が放たれ、4人は大量の感染者に襲われるハメになる。
これはゾンビアポカリプスの終末世界で、略奪と非道な所業を楽しむ狂気のファン軍曹に率いられた民兵集団631部隊の仕業。荷台に逃げ込んだチョルミンごとトラックは奪われ、迫り来るゾンビの群れに追い詰められたジョンソクの目の前に急停車する車が!
ジョンソクを救ったのは荒廃した世界で生き延びてきたジュニとユジンの姉妹。まだ10代半ばと思われるジュニの脅威的なドライビングテクニックと、幼いながらリモコンカーで感染者の注意をひかせるユジンの機転で逃げのびるが、ここで何にもできず後部座席でひっくり返っているないジョンソクは「怒りのデスロード」で血袋にされたマックスを思い出す(笑)。
ファン軍曹と彼を馬鹿にしながらも下手に出るソ大尉。反目しあう2人のクソ野郎の悪役ぶりがまたいいのだなあ。アジトはショッピングセンターを改造していて、捕虜となったチョルミンはそこでゾンビから逃げ切れるかのゲームのコマにされてしまうのも最高に悲惨なのだ。
軍隊が人間性を失った暴力集団と化してるあたりの描写がロメロの「死霊のえじき」や「ランド・オブ・ザ・デッド」、「サバイバル・オブ・ザ・デッド」にも似て非常に好ましいのだ。
もっとも前作同様、本作のゾンビは「28日後…」のような感染&全速力ダッシュ系。しかしロメロゾンビのように人を喰らうシーンは無い。個人的には「28日後」のように「ゾンビのような感染者」ならダッシュしてもいいのだけど、一度死んだら走って欲しくないのだが、本作に限っては気にならない(笑)。
むしろ塊になって迫ってきたり、ドドドと落ちてきて山になってしまうあたりの描写は前作と同じでうわわわとそのビジュアルのおぞましさに喜んでしまうのであった(笑)。面白ければ細かいところはいいのだ。
以下チョイとネタバレになるので要注意!(笑)
ここから先は見てのお楽しみだが、
ジョンソク&ミンジョンのトラック奪還に義兄チョルミン救出のミッションも加わり
ファン軍曹たちの怒涛の追撃&マッドマックス市街地版の壮絶カーチェイスに阿鼻叫喚のゾンビ大量襲撃でてんこ盛りな上に、夜明け前までにインチョン港に到着しなければならないカウントダウンも加わり、クライマックスまでの加速のつき方の気持ちよさったら半端ない最高さなのだ。
ここにクソ悪役の登場に韓国映画特有の容赦ないラストになるかとヒヤヒヤすラストが加わるから堪りませんな(笑)。
ミンジョン親子たちの情愛とキム爺さんの意外な伏線回収で泣かせ、最後にジョンソクの自己肯定という王道の収まりもあり本当に気持ちよく観終われるのであった(笑)。
前作が面白過ぎたので心配したが、まったく杞憂に終わったのは嬉しい誤算。正直言うとゾンビは出てくるものの、ゾンビホラーにはなっていない。冒頭の「肉親のゾンビ化」の哀しみが後半にあったらもう言う事なしだったが、前作以上に完全に「サバイバルアクション」として振り切った演出には大拍手だ。もっとも「怒りのデスロード」とは逆にカーアクションはほとんどがCGらしいが、ちょっとマンガっぽさはあるもの、あれだけ「カッコイイキメキメ画面」見せられたら文句ねえや(笑)。
美しくも逞しいミンジョンとジョンソクのまったくベタベタしない関係も、マックスとフェリオサみたいで非常に好ましかったし、仮にジョンソクがミンジョンとの未来を考えたとしても許せるぜと、大満足のおっさんは上から目線でうなづいてしまうのであった(笑)。
それにしてもタイトルは前作は「上手い!」と思ったけど、今回はちょっとB級感溢れるものになっちまいましたな(笑)。それでも面白さはA級。
ああ、日本映画でここまでやってくれる映画って出てこないのかねえ・・・。